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7部分:07.取材



いや?、これはいいネタになりそうですよ
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「なぁ、霊夢……」

「なに?いま忙しいんだけど」

「これ、なに?」

晴天の空の下、俺は霊夢にある物を手渡した

霊夢は受け取った物をみて、俺に憐れみの目を向けながら

「なにって……。これは新聞っていってね?─」

「ちげぇよ!?外の世界にも新聞はあるし、ここなんかよりもっと発達してるよ!」

俺のツッコミに霊夢は、なら何が問題なのよ?とでも言いたげに視線をやる

「ここだよ!ここ!」

人差し指である記事を指す

そこには、こう書いてあった

外来人!悪魔の妹を倒す!!

「出鱈目にもほどがあるだろ!?」

「あ?、これね。気にしなくてもいいんじゃない?この新聞の記者はいつも誇張して記事を書くから、どうせみんな信じてないわよ」

コロコロと可愛く笑いながら、新聞を左右に振り回す霊夢

そんな霊夢をみて、それならいいんだけど……。と思いながらも竹箒を手に取り掃除に戻ろうとする

「彼方、お茶いる?」

「掃除を終わらせてからにしとくよ」

霊夢の誘いを断り、いざ掃除を開始しようとした直後、上空から声が聞こえてきた

「あやややややや。今回ばかりは私、誇張もなにもしてないですよ?」

黒い翼を軽く羽ばたかせながら、ゆっくりと降りてきた少女

頭には赤い帽子(?)を被り、下はプリーツスカート、上はシャツを纏っていた。

「あら、文。どうしたの?」

「こんにちは、霊夢さん。そして、はじめまして彼方さん。わたし射命丸 文(しゃめいまる あや)と申します」

そう言って手を差し出してきた彼女

「あ、どうも。不知火彼方です」

差し出された手を掴み握手をする

その瞬間、俺の身体をありえない感覚が支配した

なんだろう?この感覚。初めて会ったはずなのに……何故だか懐かしい感じがする

俺がこの不可解なことに疑問符を浮かべていると、文は少し困った顔で

「あの?、彼方さん?いつまで手を握ってるんですか?」

「うわぁっ!?すいません、ちょっと考えごとをしていまして!?」

「彼方、後で神社の裏に来て頂戴」

「え゛!?」

慌てて飛びずさりながら、謝る俺に後ろから霊夢の容赦のない一言が降り注ぐ

弁明をする俺と、聞く耳を持たない霊夢

そんな俺達を見て、文は手に持っていたカメラのシャッターを切る

「ちょっと!なに撮ってるのよ!?」

その文の行動に気付いた霊夢が慌ててカメラを奪おうと飛びかかる

文はというと、慣れた動作でヒラリとかわし、霊夢の手は空を掴むだけに留まった

「いや?、いい写真が撮れましたよ!これで、明日の記事は決定ですね!」

ほくほく顔で俺の目の前に降り立つ文。

俺としては誤解されるので止めてほしい。霊夢ならもっと素敵な男性が現われるだろうしな。

「ところで、さっきは何を考えていたんですか?」

いまだ、ほくほく顔の文が俺に極上の笑みで聞いてくる。俺からも何か引き出そうって魂胆なのか?

「ええと……たいしたことじゃないんだけどさ。……俺と文ってこれが初対面だよな……?」

俺の言葉に一瞬文の目が揺らぐ

しかしそう思ったのもつかの間、文は声を出して笑い始めた。

「あはははは。なんですか?彼方さん。それはナンパですか?」

俺の言葉がツボに入ったのか、なおも笑いながら俺の肩を叩いてくる

「ちっ、違うって!?ただ、そんな感じがするな?、って思っただけだよ。俺だっておかしい事を聞いたのは自覚してるよ!」

いまさらになって、恥ずかしくなり顔を赤くしながら文に言う

それが逆効果だったのか、文はより一層笑う

庭には盛大に笑う少女と、その横で恥ずかしさで顔を赤くした少年と、いまなお一人でぶつぶつと先程のことの釈明を考えている巫女だけがいた。



           ☆



ひとしきり笑った文は、ふぅ……。と息を吐きだし彼方の方を向いた

彼方は先程のことをまだ引きずっているのか、しきりに「違うんだよ……。いや、ナンパとかしてないから」と虚空に向かって喋っていた

「お?い、彼方さ?ん。起きてくださ?い」

文は虚空に向かって喋っている彼方の首にチョップを軽く入れ、意識をこちらに向けた後

「先程のことですけど、わたしと彼方さんは初対面ですよ」

「ですよね?……」

当たり前に答えに苦笑いを浮かべる彼方

「そんなことより、文。あんた何しに来たの?要件はだいたい分かるけど……」

「あやや?。わたしとしたことがすっかり要件を忘れていました。今回お邪魔したのはですね、彼方さんに取材をと思いまして」

彼方の横にいた霊夢の問いに、うっかりとした感じで答える文

「……え?俺?」

自分の顔を指さしながら首を傾げる彼方

いきなりの指名に思考が追いついてないようだ。

文はうんうん、といった感じに頷いて顔を近づけてきた。一気にまくし立てた

「博麗神社に居候している外来人!しかも男!噂になっていた紅魔館の主レミリア・スカーレットの妹を弾幕勝負で倒したとなっては、取材しないほうがおかしいですよ!!」

マシンガンのように喋る文

「ちょっ!ちょっと待ってくれ!?俺はフランちゃんを倒してなんかいないし、むしろ首の皮一枚で繋がってる状態だからね!というかあの時どこにいたんだよ!?」

自分の首を横にスライドさせて必死にアピールする彼方

あの時は半ばお情け状態で勝ちを貰っただけで、勝負をすれば一瞬で死ぬ自信がある

そして、そのお遊びは自分が死ぬまで続くのだ

「(本格的に鍛えないとヤバいよな?……)と、とにかく!俺は取材なんて受けないからな!」

そう言って席を後にしようと立ちあがる彼方

「お兄ちゃん……。取材受けないの?」

否、立ちあがる寸前に後の重みでそのまま前に倒れ込んだ

「勝手に人の家に上がり込まないでよ」

「あら、ちゃんと声をかけたわよ」

彼方の横で眉を潜ませながら後方にいるであろう、紅魔館のメイド長 十六夜咲夜に話しかける霊夢に、澄ました顔で答える咲夜

そんな二人を横目に彼方は上に乗っかってる友達に話しかけた

「いてて……。フランちゃん、重いからどいてくれないか?それとなんで昨日は、さん付けだったのにお兄ちゃんになってるの?」

「こっちのほうが、お兄さんは好きかなと思って。どう?どっちがいい?あと、わたしってそんなに重いかな?」

可愛らしい笑みを浮かべながらゆっくり足に力を加えていくフラン

「どっちでもギブギブっ!?重くないから、フランちゃんは綿のように軽いから!その足をどけてくれ!?フランちゃんの力でやられたら洒落になんないからっ!?」

タップを繰り返しながらもがく彼方に満足したのか、フランは足に力を込めるのを止めて彼方の上に正座をし先程の件を話し始めた

「お兄ちゃん、なんで取材受けないの?」

フランの問いに、チャンスとみたのか文も横からたたみかける

「そうですよ!なんで受けてくれないんですか!嘘は書きませんから!」

「う?ん……。フランちゃん的には受けたほうがいいの?」

「もちろん!だって面白そうじゃん!ねえねえ、天狗さん、フランも取材受けていい?」

「えぇ、もちろんですよ。わたしが聞きたいくらいですし」

文の言葉を聞いた瞬間、嬉しそうに羽をパタパタ揺らすフラン。顔も先程よりも笑顔で一段とまぶしい。

「あら、結局することになったの?あんたホントに押しに弱いわよね」

「そして変なとこで意地を張ったりするしね」

やれやれ、といった具合に顔を左右に振る二人

言われた彼方は全部当たっているので、反論することができずにバツが悪そうに頬を掻くのであった

不知火彼方、フランとの遊びを終えた二日後。人生初の取材にである



           ☆



「って……なんで二人ともいんの?」

彼方を挟みこむ形で座っている霊夢と咲夜に疑問を投げかける彼方

「いいじゃない。暇なんだし。それに忘れたの?あんたが無茶したせいでお守り壊したことを」

「そうでした。霊夢さんのお守りがないと、俺は今頃炭でしたね。あと、あの後に受けたビンタはとても痛かったです」

「私はお嬢様から、妹様の面倒を仰せつかったので離れるわけにはいかないわ。それに忘れたの?あなたの無茶のせいで私と美鈴だって大変だったんだから」

「そうでした。俺まったくバトルしてなかったですしね」

疑問を投げかけただけなのに、まさか心のダメージを負わされるとは思っていなかった彼方。思わず冷や汗が垂れてくる

「あやや?、そろそろいいですか?」

困り笑顔を浮かべながら進めようとする文

「あ、そうでした。どうぞどうぞ」

「ではでは。まずは貴方のお名前は?」

「不知火彼方です」

彼方の言葉に素早くペンと走らしていく文

「外の世界では何をしていて、家族とかはどうでしたか?……あ、これは言いたくないなら無理にとはいいませんよ?」

「別に大丈夫ですよ。まぁ……外では学生やってましたね。家族は親父が亡くなって母さんと二人で過ごしてます。あとは……家族みたいな幼馴染がいるくらいかな。友人も結構いたし……」

「「「家族みたいな幼馴染……?」」」

霊夢・文・フランの声がはもる

「あやや。これは少し聞いてみる必要がありますね」

「お兄ちゃん……」

「へー、幼馴染ねー。ふーん。ま、わたしはそんなのどうでもいいけどね。彼方がどうしても話したいって言うなら詳しく聞いてあげるわよ?」

文は、わくわくどきどきといった感じでペンを握りしめ

膝の上に乗っているフランは彼方の手をぎゅっと握りしめて、上目づかいで彼方を見やり

霊夢はどうでもよさそうにしながらも、しきりに横目でこちらをチラチラと盗み見る

三者三様の行動で彼方をみやる三人

「え?……と。言葉の通りで小さい時からの付き合いで、いまの俺がいるのはあの子のおかげというか……」

「ほうほう!それでそれで!」

ずい!という音が似合うような迫力で一層彼方に近づく文

文のあまりの食い付きに彼方は後ずさりのしようと試みるが─────

「あれ……?」

横から霊夢が、がっちりと腕をとっているのでその場から動くことができなかった

横からは霊夢の無言の圧力

膝からはフランがいまにも腕をへし折ろうとし

正面からは、期待の籠った目をされ

助けを求めようと咲夜を見やれば、笑顔で手を振られる始末

この場に自分の味方がいないことを悟った彼方は、何がいけなかったのか?と思いながらゆっくりと語りはじめた。いつも自分の傍にいてくれた彼女のことを。あの時自分の背を押してくれた彼女のことを




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