A's9.ヴィヴィオの小学校はどこ?
『えー戦闘で一番大事なものはなんですか? はいティア』
『戦闘の長期化に備えてなのはさんのポストカードと抱き枕』
『外周』
『あ、ティア。 講義の休憩時間にこっちにきてね。 やり直しと苦手な問題集中して解くからね』
ヴィータは一人緑茶をすする。 その隣では八神はやてが思案顔で書類を読みながらサインをしていく姿があった。 はやての周りには膨大な膨大な書類が山となって築かれている。 それをさばきながらはやてはぽつりと呟いた。
「ヴィータ……飽きたんやけど……」
「……」
「なんで部隊長なんてやってるんやろ……。 もう勧誘とかラブレターとか調教願いとかばっかなんやけど。 あとたまにわたし宛ての仕事」
「……管理局は平和だなぁ」
自分の仕事を午前中で終えたヴィータはどこか気晴らしに外に出かけようと思った矢先にはやてに捕まった。 はやて曰く『一人で書類整理とかつまらへん。 せめてロリ成分がほしいねん』とのことであった。 ヴィータ自身、大好きなはやてにそう言われるのはやぶかさではない……というよりちょっと嬉しかったので、自分のお茶とお茶菓子を持ってくるとはやての隣にちょこんと座り現在まで至った。
その間ずっとはやては独り言をつぶやきっぱなしである。
「なぁ〜ヴィータ〜。 お膝に移動してくれへん?」
「あ? なんで?」
「ロリ成分がないとしんでまう」
「……まぁ死なれても困るしなぁ」
しょうがねぇなと呟きながらヴィータははやての膝に座る。 ヴィータの頭を撫でながらはやてはヴィータにしか聞こえない声量が呟いた。
「ヴィータに変身魔法かけて子どもが出来たってことを口実に籍を入れるって作戦ええかもしれんなぁ……。 最悪ベッドまで行けばこっちが主導権握ればええんやし、じっくりと一晩……いや三日三晩くらいわたしの声しか聞こえない部屋で耳元で愛を囁けば、なのはちゃんやフェイトちゃんと談笑してる最中でもきっとわたしの姿が脳裏浮かんできて──」
「うわぁああああああああッ!?」
「あぅっ!?」
叫び声とともにはやての膝から転げ落ちるように逃げ出すヴィータ、そこに丁度資料を持って通りかかったフェイトと激突した。 9歳から身体的に大きく成長しスタイル抜群のフェイトと9歳から何も変わらないヴィータの身長の差のせいで、フェイトはヴィータの頭が腰に当たり大きく尻もちをつく形となった。
フェイトの声と空に舞うフェイトの資料、そして一連の連鎖を起こした本人であるヴィータがフェイトのスカートを握りしめながら震えている姿をみて室内で講義を行っていたなのは他新人達と、シグナムとシャマルが手を止める。 ザフィーラは犬の姿で散歩中である。
「いたた……ちょっとヴィータ──ってどうしたの? 震えてるけど……」
「はやてが……はやてが……!」
「ん? はやてがどうかしたの?」
はやてのほうを指さすヴィータ、それに釣られる形でフェイトもはやてのほうを見るが、
「ん〜……どうやってこのラブレター返信したものか……。 他に男がいるって書くと後がめんどうそうやし──ってみんなどうしたん?」
はやては一枚のラブレターを睨みつけながらうんうんと唸っている最中であった。
「あ、あれ? だってさっき身の毛がよだつようなことを言ってて」
「何言ってるのヴィータ。 そんなのいつものことだよ」
「ちょっとまつんやフェイトちゃん」
それってどういうことなん? あ、あはは……えーっと、えーっと……
そんな声をBGMにヴィータは一人、目をぱちくりさせていた。
「休暇もらって夜天の書に引きこもろうかな……」
沈んだ調子のヴィータを、優しく後ろから抱きしめる温かい手。
「きっと業務が忙しすぎて変な幻覚でも見たのよ。 ほら、今日はひょっとこくんが料理作ってくれる日だからそれまで休憩しておいたらどう? 後のことは私がやっておくからヴィータだけ先に行く?」
「あー……そうしようかな。 うん、確かに最近仕事忙しかったもんな、あんな幻覚みてもしょうがない、しょうがない」
よし、そうとしたら帰宅の準備を進めよう。
帰宅の準備を進めるヴィータ。 そんなヴィータをなのはは一人じっとみていた。
「あたたた……ねぇシャマル、ちょっと腰どうにかなってないか見てくれない? って、どうしたのなのは?」
「いや……ヴィータちゃん俊くんの部屋のベッドで枕を抱いてくんかくんかしないかと心配になって──」
「ごめんシャマル、先になのはの頭の診断お願い」
「ちょっ!? わたしは極めて正常だよ! 乙女だよっ!?」
「はいはい乙女乙女。 ほら、講義はわたしが受け持つから」
「だ、大丈夫ですかなのはっ!? さっきの発言はちょっと心配になってきます!」
「ティアに心配されたっ!? もう生きていけない!?」
「はーいなのはちゃん、検査していきますねー。 ストレスは感じますか?」
「ティアとかですかね」
「あれっ!? なんか段階が一足飛びになってるんですけどっ!?」
『なんなんですかっ! 私の何がストレスなんですか乳首すってくださいっ!』
『助けてっ!? 誰か助けてっ!? この子の将来が不安になってきたんだけど!』
嬉しそうな表情で抱きつくティアと怖がりシャマルに助けを求めるなのは。 それらを横目にヴィータはひょっとこがとろろ作りに勤しんでいるであろう家に足を進めようとする。 が、それをなのはがひしっと抱きつく形で止める。
「大丈夫―? わたしとフェイトちゃんの部屋に安眠用のお香があるからそれ使ってゆっくり休んでね?」
「あー、まぁちょっとだけ疲れてるだけだろうし大丈夫だよ。 まぁあいつの部屋よりなのはとフェイトの部屋のほうが嬉しいからありがたく使わせてもらうよ。 うーん……やっぱ少し仕事量減らすかなー」
後ろ手を振って六課を後にするヴィータに、皆も手を振って送り出す。
ヴィータを見送った後、シャマルは心配そうにつぶやく。
「過労で倒れないならいいけど……」
「確かに心配だよね。 ヴィータちゃん、わたしと同じくらいハードな仕事量だもんね」
「(ハード?)」
「(え? なのはちゃんの仕事ってハードでしたっけ?)」
「(なのはちゃんが壊した訓練所の修繕費どないしよ……)」
「(ハードなプレイかぁ……)」
「あ、あれ……? なんでみんなこっち見ないの? なんで目を逸らすの!? わたしだって忙しいもん! 皆が楽しめてなおかつ無駄のない練習考えたり、ティアとスバルから逃げたり迎撃したり、あとあと! ……デスクワークしたり! えっとえっと、それとねそれとね? …………」
とくになかったのか、なのははちょっと泣き目になってフェイトに抱きついた。 なのはを優しく抱きしめたフェイトは頭を撫でながらヴィヴィオと同じようにあやす。
二人の周囲に広がるちょっと桃色な雰囲気を感じながらはやてはシャマルとシグナムと相談しながら考える。
「視察のときもパーティーのときも、通常業務だってヴィータにはちょっと頼ってたし、ここらで一週間くらいヴィータには休んでもらおうと思うねんけど。 いまパッと休暇を出すと、本人の心理的にマイナスな方面が出てくると思うから少し経過して後がやっぱベストやと思うんやけど」
「そのほうがいいですね。 有給休暇も溜まってますし」
「いや、今回の休暇はわたしのほうから引いてもらうよう掛け合うで」
「はやてちゃん有給残ってましたっけ?」
「わたしからのお願いなら喜んで聞いてくれる人達が何人もいるからそこらへんは大丈夫やろ」
「前回の出来事で一番得をしたのってはやてちゃんですよね。 ひょっとこ君は結局推薦を全部蹴ってるわけですし」
「いやーかわいいって罪やわー」
困り顔のシャマルに嬉しそうなはやて。
「あ、そういえばフェイトちゃん。 皆に今日はとろろしかないって言ったっけ?」
フェイトの胸の中に顔を埋めていたなのはがふと顔を上げて聞いてくる。 フェイトは一瞬だけ思考し、
「いや……そういえば言ってないかも」
「え? 今日なのはさんのとろろオンリーなんですか?」
「ティアちょっと黙ってて」
「え? それほんまなん? とろろオンリーって意外と飽きるの早いと思うんやけど……。 わたし達はそれでもええけど、子ども組、とくにヴィヴィオちゃんはどうするんやろ?」
「う〜ん……きっと俊くんがなんとかしてくれるよ。 ヴィヴィオが絡むと嫉妬するくらい一生懸命になるし」
なのはの言葉に一同頷く。 ヴィヴィオ相手には人が変わったように献身的になる姿を全員が目撃しているからだろう。
そのことを面白くないと思っている人物もこの場には数人いるのだが……全員ともそれは口に出さない。 なんせ相手は5歳児なのだから。 それにヴィヴィオには全員とも幸せになってほしいと願っているのだから。
「よっしゃ! なら早いとこ仕事終わらせて高町ハラオウン家に突撃やー!」
『おぉー!!』
はやての言葉とともに全員が拳を突き上げる。 それを眺めながらなのはは嬉しそうに微笑んだ。 自分に抱きついてこなかった教え子を心配しながら。
☆
ヴィータが高町ハラオウン家に向かっている頃、台所ではヴィヴィオが桃子と一緒にとろろ作りにトライしていた。
ウサギが餅つきをしている柄が描かれた白を基調としたエプロンを身に着けたヴィヴィオは、自然薯片手に一生懸命桃子の言葉に頷いていた。
「ゆ〜っくりでいいのよヴィヴィオちゃん。 おててを怪我しないように、ゆ〜っくり回してみて」
「こう?」
両手で自然薯を持ったヴィヴィオは、体全体を動かしながら自然薯をゆっくり回していく。 勿論、すり鉢は桃子がしっかりと押さえている状態なので安心である。
「上手よ〜ヴィヴィオちゃんっ! えらいえらい!」
「えへへ〜。 パパー! ヴィヴィオほめられたー!」
桃子に頭を撫でられ嬉しそうに報告するヴィヴィオ。 顔を後ろに向けてリビングにいるパパへと視線を移すと──
『あなたね、アヒル一匹面倒もみきれないの? それとも人のつけまつ毛で遊ぶように教育してるのかしら?』
『いや、えっと、ガーくんも悪気があったわけではなくてですね……』
『あら、いま現在も私の頭の上に陣取っているこのバカアヒルのどこが悪気がないといえるのかしら?』
『いや、ですからえっと……そう! リンディさんは綺麗なんだから飾らなくてもいいというガーくんからのメッセージなんですよ! な!? ガーくん!?』
『ふ〜ん……ならアヒルに直接聞いてみましょうか。 バカアヒル、私に対しての発言を許可するわよ』
『ワーイ、カレイシュウ』
『リンディさん落ち着いてっ!? 家具が壊れる家具が壊れるっ!?』
『ここまで腹が立ったのはあなたに『リンディさんって頑張ってパイパンにするけどすぐ生えちゃうタイプですよね』って言われて以来よっ!!』
『ガーくん助けてっ!? 俺が壊れる俺が壊れるっ!?』
「ヴィヴィオちゃ〜ん、パパはねーいまちょっとスプラッタなことになってるからちょっと待っててね〜?」
「はーい! ねぇねぇももこさん、ぱいぱんって──」
「それはなのはママに聞くか、将来勉強するからそれまでとっておきましょうね〜?」
「は〜い!」
元気よく手を上げるヴィヴィオ、その際とろろが桃子の顔に付着するが桃子は笑顔を絶やすことなく指ですくって舐めとる。
ふと、一心不乱にとろろ作りを再開するヴィヴィオの姿に、小さいときの自分の娘の姿が重なった。
自分と夫の間に生まれた初めての子。 自分の優しさと夫の強さを併せ持ったとても芯の強い女の子。 自慢の娘。
『ママ! なのはパパにクッキーつくる! じゃましちゃめっ!』
『はいはい、わかりましたよー』
姉と一緒にパパのために一生懸命クッキーを作る後ろ姿を眺めたものだ。 兄はハラハラした様子でその様を眺めていて、夫は部屋中をうろうろしていた。 それでも娘はそんな周りには一瞥もせずにもくもくとクッキーを作っていた。
その後に士郎さんは救急搬送されることになったんだけど……、なのははあの時のこと覚えてないわよね。 考えてみれば一くんが必死の形相を浮かべていたのってあの時だけよね。
「ももこさん、ヴィヴィオつかれた〜……」
ぐいぐいと服を引っ張られる感触と、ヴィヴィオちゃんの疲れた声が現実に引き戻される。 すり鉢のほうを見てみると、三口程度のとろろが作られていた。 それを別皿に分けラップしておく。 これはパパとママ達にヴィヴィオちゃんからプレゼントしましょうね〜。 そういうと、ヴィヴィオちゃんは大きく頷いた。 それも極上の笑顔付きで。
『なのはねっ! ママのためにいーっぱいがんばるっ!』
「……なのは成分が足りないみたいね。 早いとこ帰ってこないかしら……」
「なのはママおそいねー?」
「「ねー?」」
二人口を揃えて首を傾ける。
するとそこに死にそうな声で俊ちゃんが復活してきた。
「ヴィヴィオー……パパにはヴィヴィオだけがすべてだよー……」
あらあらリンディさんにこっぴどくやられたみたいね。
ヴィヴィオちゃんと離すまいと強く抱きしめる俊ちゃん。 ヴィヴィオちゃんは俊ちゃんの頭を撫で撫でして優しくする。 これじゃぁどっちが子どもなのかわからないわねぇ。
タタタタッとガーくんがヴィヴィオちゃんに駆け寄ってくる。 俊ちゃんはガーくんも一緒に強く抱きしめるけど……、あんまり長いこと自分の世界に入られるととろろが作れなくなるから困っちゃうわ。
「ほら、いつまでめそめそしてるのよ。 早く準備するわよ準備」
「うぅ……さっきまで俺のキャンタマ握ってた痴女の癖に……」
「あのまま潰してもよかったのよ?」
「ごめんなさい、もうパイパンウーマンなんて言って遊びません」
俊ちゃん、どうしてそんな子に育っちゃったのかしら。
☆
俺がリンディさんからすこすこされてからアニメが一本視聴終了する時間が過ぎた頃、唐突にリンディさんが喋り出した。
「そういえばあなた達はヴィヴィオちゃんの学校どこにするか決めたのかしら?」
「…………あ」
そういえばまったく決めてなかった。 なのはとフェイトとそんな話題一回も出した記憶がない。
「……いまから決めたほうがいいですよね」
「もう10月だし、決めておかないとねぇ」
「……ですよねー」
どうしたものか、すっかり忘れていた。 俺としたことがヴィヴィオはずっと成長しないでずっと俺をパパと呼んでくれる可愛い5歳児だと思い込んでいた。
「……10年もしたらきっと俺のことなんかクズ呼ばわりして……彼氏なんか出来ちゃって……うわぁああああああああああああああああああッ!!」
「落ち着いて俊ちゃんっ!? まだそうと決まったわけじゃないわっ!」
「桃子さんは俺のヴィヴィオに彼氏一つできないくらい魅力がないっていうんですかっ!?」
「落ち着きなさいよあなたっ!? ヴィヴィオちゃんは可愛いから大丈夫よっ!」
「うわぁああああああああああああっ!? もういやだ! そんな世界いらない!」
泣きながら崩れる俊に困った顔と呆れた顔をそれぞれ向ける保護者二人。 そんな俊にヴィヴィオは近づき、いいこいいこと背中をぽんぽんと叩いた。
「ヴィヴィオ、パパのことず〜っとだいすきだよ! ヴィヴィオね、パパのおよめさんになるもんっ!」
ぐっと両手を握りこぶしにするヴィヴィオ。
『パパのおよめさんになるもんっ!』
その言葉が暗黒面に堕ちようとした俊の心を繋ぎとめた。
折れそうなくらいにヴィヴィオを抱く俊。 ヴィヴィオは困った様子でパパと何度も呼ぶが、俊はそれを無視してずっと抱き続けた。
どれほどの時間が経ったのだろう、俊は抱いていた手を離すとゆっくりと立ち上がり桃子とリンディをまっすぐ見つめた。
『ひょっとこー邪魔するぞー』
「リンディさん、桃子さん、俺──ヴィヴィオと結婚しますッ!」
「お前頭大丈夫か?」
俊の後ろでヴィータが冷ややかな視線を浴びせていた。
☆
「俺としたことが冷静さを欠いてしまうとはな。 それもロヴィータやヴィヴィオといったロリっ娘に見せてしまうとは恥ずかしい。 カッコイイ年上男性のイメージを崩してしまうところだったぜ」
「安心しろ、そもそもお前はカッコイイとは縁遠い男だからな」
「え? ハンサム?」
「はいはいハンサムハンサム」
俺に会いたいから仕事を抜け出してきたというロヴィータ。 やっぱ俺って罪な男だな……。
「ひょっとこ服を脱ぐな、だらしない体見せるな」
「えっ!? 俺の体だらしないですかっ!? 最近走り込みしかしてないからマズいですかね!?」
「まぁ細身ではあるけど、べつに問題ないと思うわよ。 キモいから服を着なさい」
リンディさんからお墨付きをもらったので問題ない。 きっとロヴィータのベッドのお誘いだったのだと思う。 幼女の恥じらいを見抜けないとは紳士失格だな。
「おい人間失格、なのはから何も聞いてないのか? てっきり連絡してあるのかと思ったけど……」
「え? あー、携帯充電してたから気づかなかったのかも。 ちょいまって確認するから」
部屋の隅に置いてある充電器に近づき携帯と充電器のイチャイチャした雰囲気を切り離す。 残念だったな充電器。 お前は大気中の微生物でも孕ましておくんだな。
「あ、なのはから着信あったね。 15件ほど。 はやてからも同じくらいの数できてる」
迷った末にはやてに電話をかけることにした。 ロヴィータははやての家族、はやては親みたいなものだからな。 他の誰よりも心配してるだろうし。
プ──
『やっと電話つながったみたいやなぁ俊』
「あー、ごめんよはやて。 ちょっと充電しててさ。 それで、ロヴィータのことだろ? たったいま家に到着したよ」
『ほんま!? よかったぁ〜無事にそっちに着いたんやな。 これで一安心や』
「うん、それでロヴィータはどうしたの? 顔色もそこまで悪くないみたいだけどさ」
『んーそうなんやけどなぁ……。 最近ちょっと仕事のしすぎやとおもうんよ。 それでさっきわたしの膝の上で寛いでいたかとおもたらいきなり騒ぎ出して……。 シャマルは過労でストレスもあるんやろっていってたし……。 ヴィータは大切な家族やし、何かあってからじゃ遅いやろ?』
「なるほどねぇ……。 確かにロヴィータ俺から見ても働きっぱなしだったもんなぁ。 比較対象がアレだけど」
『うん。 なのはちゃんとフェイトちゃんが自分達の部屋を使っていいって言ってくれたからそっちの部屋で休ませてあげて。 ええか? なのはちゃんとフェイトちゃんの部屋やで? 俊の部屋は絶対にあかんで?』
「お、おう……」
どんだけ信用されてないんだ俺。
携帯を閉じポケットに突っ込んだ後、ヴィヴィオ達がいるキッチンへと向かう。
「ロヴィータ、ママンから電話があったよ。 俺はなのは達の部屋少し片付けてくるから待っててね」
「あ、ひょっとこ! いいってそこまでしなくて。 あたしは本当になんともないからさ」
「まぁまぁ遠慮するなって。 あれだろ? 俺の名前をつぶやきながら指でイジっちゃうんだろ? お豆ちゃんクリクリしちゃうんだろ? 大丈夫、俺とお前の仲なんだからさ」
「お前と会話してるとゲロ吐きそうになるわ」
お下品な言葉づかいだこと。
それに……、ロヴィータはそう言って気まずそうにそっぽを向いた。
「一人だとなんか面白くないし……」
……こういった女の子の仕草に弱いんだよなぁ。
桃子さんとリンディさんに視線をやると二人とも、笑顔で快諾してくれた。
「んじゃ、ロヴィータには手伝ってもらいますか。 よーし、奴隷が一人増えたからラッキーだな!」
「らっきー!」
隣にいたヴィヴィオとハイタッチ。 ヴィヴィオは分かっていないだろうけど、可愛いから大丈夫。
ロヴィータの頭を撫でる俺だが、意外にもロヴィータは抵抗することなく為すがままにされていた。
こうしているとロヴィータは本当に人形みたいで可愛いなぁ。 食べちゃいたいくらいだ。
思考を読まれたのかロヴィータがいきなり振り向いてきた。ロリに似合わないような顔を浮かべながらこっちを睨みつけてくる。
「どうしたんだいダッチワイフ」
「触んなインキンタムシ」
撫でていた手を払いのけるロヴィータ。
……訂正しよう。
ロヴィータは喋っても可愛かった。
☆
さてさて、ロヴィータを戦力に加え準備を再開するが、いまの俺達の話題はヴィヴィオの小学校一択となってしまった。
「ヴィヴィオが魔法に少しでも興味あるならSt.ヒルデ魔法学院がいいと思うんだけど……本人まったく興味ないしなぁ」
「あら、なのはやフェイトちゃんが魔導師なのにねぇ」
「なのはママもフェイトママもおうちであそんでるときのほうがかわいい! まほうはなんかいやー」
「ふむふむ。 ヴィヴィオちゃんの言うことはもっともね。 私もフェイトが危険な仕事に行くときはいまだに不安があるのよねー。 魔導師は常に危険と隣り合わせ、そう考えると別段魔導師を凄い目で見ようとは思わないし、逆にそんな姿が嫌になっちゃうこともあるわよね」
「ヒルデの制服ヴィヴィオに似合うと思うんだけどなー……」
「制服はお前が自作してヴィヴィオに着てもらえばいいだろ」
「……っ!? ロヴィータ貴様天才かっ!?」
「まぁな。 それよりヴィヴィオに希望はないのか?」
「きぼう? んーっとねぇ……」
ロヴィータちゃんに尋ねられたヴィヴィオは、体をゆさゆさ揺らしながら考え込む。 といってもヴィヴィオは小学校なんか知らないから希望も何も出てこないだろうなぁ。 ヴィヴィオに難しく考える必要はないよって言っておくか。
「ヴィヴィオ──」
「ヴィヴィオねー、パパやなのはママやフェイトママのしょうがっこうがいいなー。 ヴィヴィオはママたちやパパのところでおべんきょうして、ママたちとパパのこともーっとしりたい!」
「愛してる」
ひしっと抱きしめたヴィヴィオの体。 うぎゅっと可愛らしい声を出すヴィヴィオの隣でガーくんも『ガークンモイッショニイクッ!』とジャンプしていた。 わかったわかった、手配しておくよ。 そう意味を込めながらガーくんの頭を撫でる。
「ヴィヴィオちゃん……やっぱりなのはの娘ね……。 こんなに可愛らしいなんて……もうすっかり対象になっちゃったわ……」
桃子さん、ちょっと意味不明の供述をしながらもほろりと涙。
「ヴィヴィオちゃんなんていいこなの……。 私絶対に聖祥小学校の校長になってヴィヴィオちゃんが苦労しないように腕を振るうわ……」
リンディさん、やめてください。 本当にやりかねないから怖い。
「いまのいままで妹なんていらないと思っていたけど、ヴィヴィオみたいな妹がちょっと欲しくなった……」
ロヴィータ、姉妹丼の完成である。
しかしまぁ……ヴィヴィオが俺達と同じ学校に通いたいとは驚いた。 でも……正直とても嬉しかった。 是非あそこでヴィヴィオには俺達以上に楽しい思い出を沢山作ってほしい。
「あ、それじゃいま聖祥小の制服着てみるか? なのはの制服がパパの部屋に置いてあるから」
「ほんとっ!? ヴィヴィオきてみたい!」
「ちょっとまてひょっとこ! どうしてお前がそんなものを持っているんだ!?」
「たまにベッドで臭いを嗅ぐからに決まってるだろ! とくに3年生のときの制服にはいまだにお世話になってるぞ!」
「まって俊ちゃん! それインフィールドフライよ! 俊ちゃんのママとしてもなのはのママとしても流石に見過ごせないわ!」
「くっ……!? この男と同じことをやっていたなんて……!? でもフェイト可愛いしちょっと気持ちがわかってしまうのが悔しいわ……!」
「おいやべえ人物が二人に増えたぞっ!?」
「大丈夫……心配すんな。 サイズが合ってないのは知ってるさ。 クリップでどうにかしてみるよ」
「誰もそこ心配してねえよっ!?」
「ロヴィータ……たった1人の娘がさ、俺達が通った学校の制服を着たいと願ってるんだぜ? それを叶えてあげるのがパパの役割だと俺は思うんだ。 そう思うだろお姉ちゃん?」
「いやまぁそれはそうだろうけど……あたしはなのはの小学校の頃の制服の臭いをいまだに嗅いでるお前に問題があるって言ってんだよ。 あと勝手にあたしをお前ら変態家族にいれるな。 あたしははやての家族だ」
「人間が自慰をするのと一緒だよ」
「いやお前それで自慰してるんだろうが。 あっ!? こらまて逃げるな! お前なのはに殺されても助けてあげないからなっ!」
『ツンデレ最高フォオオオオオオオオオ!』
ロヴィータの叫び声を無視して部屋に戻り、真空パックに保存しておいたなのはの制服を取り出す。 勿論そのとき空気中に溶け込んだなのはの臭いを肺に取り込むことも忘れない。
足取り軽くヴィヴィオの元へと戻る俺。 ロヴィータは俺に軽蔑のレーザービームを当てるが今夜のおかずを提供していることに気づいていない。 桃子さんは笑顔のまま録音テープを握っている。 ……バラされたくないから奴隷になることに決めた。
リンディさん
『フェイトの制服を捨てるか彼を殺すか。 選択肢は一つに一つね。 コロコロフィーバーよ』
あれ? 選択してなくね?
いやしかしそんなこといまはどうでもいいのだ。 いま大切なのはヴィヴィオにこのなのはの制服を着せること。 それが俺に課せられたミッションだ。
「ほらヴィヴィオ、これがなのはママの小学三年生のときの制服だぞー。 ちょっとまってな、ヴィヴィオの背に合わせるから。 はーい背筋伸ばして、決めポーズでもするか」
「ヽ(`・ω・´)ゝ」
「ごめんやっぱ普通に両手を左と右に広げて」
「こう?」
「うん、そうそう。 ふむふむ、オッケーオッケー」
ヴィヴィオの背丈に合うように服をクリップで止めていく。 見映えは悪くなるが、穴はあけたくないしヴィヴィオが可愛いから問題ないだろう。 ヴィヴィオを待たせるわけにはいかないのでちゃっと終わらせる。
「はいヴィヴィオ。 一人で着替えれるか? パパが手伝おうか?」
「だいじょうぶ! ヴィヴィオできるもん!」
「そっか。 じゃぁがんばれー!」
俺の声援を皮切りに、ロヴィータと桃子さんとリンディさんとガーくんもヴィヴィオに声援を送る。 ヴィヴィオは初めての制服に若干戸惑いながらもよたよたもたもたと着替えを無事に終え──
「俊ちゃんが心臓発作を起こしたわっ!?」
「ひょっとこっ!? おい大丈夫か返事しろ!?」
「いまがチャンスッ!」
「──はッ!? 危ねぇ……ヴィヴィオのあまりの可愛さに昇天するところだったぜ」
危ない危ない、もっとヴィヴィオの制服姿を焼き付けておかないと死んでも死にきれん。 ところでなんでリンディさんは忍者スタイルで俺の咽喉元にナイフ置いてんの? まるで死神みたいなんすけど。
「パパー! ヴィヴィオどう? にあうー?」
いやいやこれはこれはなんというかまぁ……天使が舞い降りてきたね。
いやこれ凄いよ、入学初日からマドンナ認定だよ。 ヴィヴィオのクラスメートは学園天国だよ、隣の席を狙っちゃうよ。 隣の席に座るの俺だけどさ。
「……ヴィヴィオにあわないの……? あぅ……」
「い、いやいやそんなことないぞッ! ちょっと制服着たヴィヴィオが可愛すぎて言葉が出なかっただけだよ! ヴィヴィオ本当に可愛いぞ! やっぱヴィヴィオは学校なんかには行かせない、ずっとパパと一緒にいようそうしよう!」
「いいよー!」
ヴィヴィオは嬉しそうに俺に抱きついてくる。 俺は優しくヴィヴィオを抱っこして頭を撫でる。 嬉しそうに少しくすぐったそうに俺に甘えてくるヴィヴィオをみていると、本当にヴィヴィオが俺達の俺の所に来てくれたよかったと思う。 三人ならこんな幸せ味わうのはもっともっと先だっただろうから。 それにヴィヴィオが来てくれてから、二人の帰りをまつのが苦じゃなくなった。 前は一人でつまらなかったけど……ヴィヴィオといると時間の経過が早く思えてくるよ。 子どもって不思議な存在だ。 まぁそもそも一人で留守番なんてほとんどしてないんですけどね。 いつもおっさんで遊んでたし。
桃子さん達がもっとヴィヴィオの制服姿を見たいというのでヴィヴィオをおろすことにする。 ヴィヴィオはその場で見せびらかすようにくるくると回りながら皆に『かわいい? かわいい?』と聞いて回る。
桃子さんは笑顔で答えながら頭をなでなで
ロヴィータも優しい笑みで頭をなでなで
ガーくん盛大に拍手を送りながらかわいいと連呼
リンディさんの周りは赤色で埋め尽くされていたためヴィヴィオがひいた。
「ぱ、パパっ!? リンディメッシュさんからちがでてるよっ!?」
「ヴィヴィオが猫のものまねすればリンディメッシュさんの鼻血は止まるよ」
「ほんとっ!?」
聞いてくるヴィヴィオにうんうんと頷き答える。
頷きを見てヴィヴィオは意を決したような眼差しでマーライマンと化したリンディさんに向き直り──
「ヴィヴィオだにゃんっ♪」
リンディさんと二人で萌え死んだ。
『お前はいったいなにがしたいんだよっ!?』
薄れゆく意識の中でロヴィータの叫び声が頭の中に木霊し続けていた。
☆
桃子さんとロヴィータのおかげでなんとか一命を取り留めた俺とリンディさん。 ヴィヴィオの制服姿は強烈だ。 気を抜けば一気に魂が持っていかれてしまうからな。 これはリンディさんも思っていることだったのが、アイコンタクトで『よくやったわ』と送ってきた。
「あーパパがリンディメッシュさんをず〜っとみてる! パパだめー、ヴィヴィオのほうむいて?」
「枯れた女性よりみずみずしい幼女のほうがいいよ。 わかったからわかったから、膝の上に乗って動かないでくれ」
「どうして?」
「抱きしめたらヴィヴィオの背中しか見れないだろ?」
「お〜! パパかっくいい! パパすきー!」
「だろ〜。 俺もヴィヴィオのことだーいすき!」
「ヴィヴィオのほうがパパよりもも〜っとだいすき!」
『……ロリコン』
おい誰だいまボソっと呟いた奴。
「ヴィヴィオちゃーん、私にもぎゅっ〜っとして頂戴?」
「いいよー! リンディメッシュさんにもぎゅ〜ってする!」
俺の膝の上から降りたヴィヴィオはリンディさんの膝に一目散に駆け出し飛びついた。 そこに桃子さんも参入しヴィヴィオは二人に交互に抱きつく。 ちょっとだけヴィヴィオが羨ましくなった。
ヴィヴィオを見ていると膝に確かな重みを感じたので見下ろす。 ガーくんが綺麗にお座りをしていた。 その頭に優しく手を置く。
「ヴィヴィオカワイイネ」
「あぁ可愛いな」
「ガークンモショウガッコウイッテイイ?」
「勿論。 制服もちゃんと用意しとくさ。 一応、指定服だからな」
「ハーイ」
アヒル用の制服を受け付けているか明日からさっそく電話してみるとするか。 無かったら自分で縫えばいいだけの話だし。
「学校ではヴィヴィオを頼むなガーくん」
「モチロン。 ヴィヴィオマモルノガガークンノヤクメ!」
ばさりと大きく羽を広げるガーくん。 成程成程、ヴィヴィオの学校面での安全はクリアできたな。
羽を広げるガーくんに危ないからと注意をし、羽をたたませる。 ガーくんはヴィヴィオの制服姿がよほど嬉しいのか頭を左右に振りながら歌を口ずさんでいた。
「ツヨクテヤサシイオヒメサマー、タヨレルオヒトダスゴイヒトー」
「はは、なんなんだその歌?」
「ガークンノママガウタッテタ! オヒメサマジャナイノネニ!」
「俺はガーくんのママも言語を喋れることに驚いたよ……」
末恐ろしいなガーくん一族……。
他愛もない話をガーくんとしながらチラリと時計に目を向ける。 あー……そろそろ帰ってくることかな?
時刻は既に夕方5時となっていた。
「桃子さんリンディさんロヴィータタソ、そろそろ作業に戻ろう。 なのは達が帰ってくる。 公務員なのにあいつら定時より早く帰宅することあるし」
「六課はしょうがないわよ。 そういう目的で立ち上げられた部隊でもあるんだから。 んじゃ続きをやりましょうか」
「あ、その前にヴィヴィオ。 なのはママ達に写真送るから、ポーズ撮ってみようか」
「ヽ(`・ω・´)ゝ」
「えーっと……ヴィヴィオはそのポーズ好きなのか?」
「ゴメスちゃんがやってたの! ヴィヴィオはゴメスちゃんすきなんだー」
「ヴィヴィオがゴメスちゃん好きなのは知ってるけど、そんなポーズしてたっけ?」
「うん! きのうやってた!」
「パパがカミソリに絡まったジャングルと格闘してるときだったのか。 でもヴィヴィオ、ゴメスちゃんは魔法少女だけど魔法は嫌いなんじゃないのか?」
「ゴメスちゃんはいつもパンチだからだいじょうぶ!」
「確かにそうだったな。 名前負けはしてないけど、なんであのアニメって魔法少女にしたのかいまだに疑問なんだよなぁ」
見た目的にはなのはをリスペクトしてるんだけどさ。 あくまで可能性の話だが。
「まぁいいか。 この際、色々なポーズを撮っておくか」
「わーい! ガーくんもこっちきて!」
手招きでガーくんを呼ぶヴィヴィオ。 首を傾げつつヴィヴィオの元にくるガーくんを抱っこしたヴィヴィオは笑顔でこちらにピースする。 成程、流石女の子だ。 可愛い女の子には可愛い動物はつきものだもんな。
スカートをちょっと摘まんだポーズや抱っこのポーズ、床に座らせて正座や体育座りにくるりと回ったポーズ。 ねこをイメージしたにゃんこスタイルに前傾姿勢、尻中心に攻めた写真とスカートたくし上げの写真はリンディさんとロヴィータの前蹴りとともに消えていった。 だが既にバックアップは取っておいたので問題ない。 流石に5歳をオカズには使わない、ヴィヴィオフォルダに入れておくだけだ。
「ねぇねぇかわいくとれてるっ!?」
「勿論! ほら、みてごらん」
「ガークンハ? ガークンハ?」
「ほらガーくん単体の写真もこんなにあるぞ。 でもやっぱヴィヴィオがガーくんを抱っこして撮った写真が一番いいな。 待ち受けにしておこう」
「あら、確かにこれは可愛いわね」
「うんうん、ヴィヴィオちゃんとってもかわいいわよ。 ガーくんも男前よ?」
「お前も撮ってやろうかひょっとこ?」
「いや、4pが始まるといけないから遠慮しとく。 それよりママ二人に送りたい。 送る画像は──」
何にしようかスライドさせていたところで、桃子さんとリンディさんに頭を撫でられていたヴィヴィオが例のポーズ写真を指さした。 おいガーくん、なにちゃっかり桃子さんに抱かれてんだよ、しかもおっぱいが当たる位置じゃねえか。 俺に変われ!
「ひょっとこ、耳から緑色の液体が垂れてるぞ。 お前の故郷はナメック星か」
「神様、ダメ。 隣の部屋で孫悟空寝てる」
「止めろ。 模擬戦のときお前がマイク通して読み上げたせいで死ぬかと思ったわ」
「神様にも穴はあるんだよな……」
「お前は5円玉の穴で十分だろ」
「バカにしてんの? ねぇバカにしてんの?」
ロヴィータちゃんのやり取りが長くなったせいかヴィヴィオが膝の上でばんばん足を叩いてくる。 ごめんごめん、俺が悪かったよ。
気を静めてもらうために頭をなでなで。 機嫌を戻してくれたのかヴィヴィオはにっこりと微笑んでくれた。
「よーし、んじゃ二人に送るぞ。 ヴィヴィオ、なんかメッセージあるか? 打っていいぞ」
ヴィヴィオに携帯の操作を任せる。 俺の右隣にはガーくんが、左隣にはロヴィータが、前にはリンディさんで後ろは桃子さん。 そして膝の上には全員が見守るヴィヴィオが。
ヴィヴィオは慣れない操作に手間取りながらもなんとか打ち終えた。 ヴィヴィオがなのはとフェイトに宛てたメッセージだ。 修正もなにもせずにそのまま送った。
「さてと……まだ皆が来るまで時間はあるだろうから少しでも多く作って──」
『なのはまってッ!? 運動オンチのなのはが六課からここまで100m走 8秒前半のタイムで走る理由はなに!? 携帯のメールに何が書いてあったのッ!? さっきから私足が攣りそうなんだけど!?』
「予定変更! 玄関に行くぞヴィヴィオ!」
「おー!」
「ガークンモイクー!」