53.パパと呼んでくれた日



 『お兄さんと呼んでくれるのならば キミの遊び相手になると約束しよう。 パパと呼んでくれるのならば キミの笑顔を約束しよう』

 深夜3時。 魑魅魍魎どもが堂々と跋扈し、不審者共が堂々と下半身並びに衣服を脱ぎ捨てるこの時間。 高町なのはとフェイト・T・ハラオウンも日頃の疲れからか、ぐっすりと眠っていた。 しかしながら、ぐっすりと眠っているのはなにもこの二人だけではない。

 ヒモにしてペットであるこの男、上矢俊、通称ひょっとこもぐっすりと、自作の高町なのはとフェイト・T・ハラオウンの抱き枕を握りしめながら寝ているのだった。

 そんなひょっとこの自室に、とある人物ととある動物がはいってきた。

  「ガーくん、お兄さんを起こしちゃダメだからね?」

「ワカッタ、ワカッタ! ガークンオコサナイ」

 とある人物の名前はヴィヴィオ。 金髪オッドアイの天真爛漫な5歳の女の子。 この家のアイドルである。

 とある動物の名前はガーくん。 カタコトで喋るアヒルであり、ヴィヴィオの専属ペットのようなものである。 意外にもアヒルでありながら、バク転をすることができる。

 しかしながら、そのことによって高町なのはから空を飛べと言われた可哀相なアヒルさんでもあるのだ。

 さてさて、何故このコンビが深夜3時の時間帯にひょっとこの部屋にやってきたかというと──

「ここになら遊び道具あるよね……?」

 遊び道具を取りにきたからである。

 なのはママとフェイトママとひょっとこがアヒルの名前を決めている間に、疲れて寝てしまったヴィヴィオは、結構早い時間帯に目を覚ましたのだ。

 時間が時間なので両脇でヴィヴィオを挟む形で寝ている二人のママを起こすのは忍びなく、こっそりと抜け出し床で寝ていたガーくんを叩き起こし、遊び道具を沢山所有しているひょっとこの部屋を訪ねたのだ。

 ひょっとこの部屋には、ゲームやマンガなど沢山の遊び道具にあふれており、高町なのはとフェイト・T・ハラオウンの二人もしょっちゅう部屋を訪れては勝手に色々と取っていく。 ちょっとした物置的な要素も兼ね備えているのだ。

 そんな部屋であるからして、ヴィヴィオとガーくんは遊べる道具を探しにきたのだ。 ひょっとこを起こして聞けばそれが一番早い方法なのだが、流石にその選択を取ることはできなかった。

 ヴィヴィオは抜き足差し足忍び足でひょっとこの部屋に入り、本棚へ足を向ける。 マンガを取るためだ。

 対してアヒルはベットで寝ているひょっとこに近づく。 そして──

 コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツッ!

 容赦なくひょっとこの顔面を自慢のくちばしでつついた。

「ガーくんはなしきいてた!?」

 これにはヴィヴィオも驚き、つつくアヒルを止めようとするのだが──時すでに遅し

「痛い痛い痛い痛い痛いッ!? なんだ!? 敵襲かッ!?」

 ガバッ! と薄い掛布団を取っ払ったひょっとこが驚きの声をあげながら起きてきた。

 一度室内を見回すひょっとこ。 そして──

「……ヴィヴィオ、夜這いをするのならフェラで起こしなさい。 間違ってもアヒルで起こすな」

 と、なのはとフェイトが聞いたら顔面に蹴りをいれそうなセリフを吐きながら、時計に目をやる。

 現在の時刻、3時

 時計で時刻を確認し、ヴィヴィオに目をやる。 ヴィヴィオはひょっとこを起こしたことにより、しゅんとした顔で頭を下げた。 その横でガーくんも器用に頭をさげる。

「ごめんなさい、おにいさん……。 ヴィヴィオ、あそびどうぐをとろうとおもって……」

 細い声で謝るヴィヴィオ。 そんなヴィヴィオをみてひょっとこは──

「許さん」

 と、大人げなくいった。

 ビクッと肩を震わすヴィヴィオ。 ついで頭におかれる手。

「まったく……俺を差し置いて一人で遊ぼうなんて許さんぞ。 俺も混ぜろ。 幼女と遊べるなんて最高なんだからな」

 そういって笑いかけるひょっとこに、ヴィヴィオは

「ほんとう?」

 と、疑問の声をあげる。 ついでガーくんも首をかしげる。

「ほんとほんと。 それに、早起きは三文の得といってな、ようするに早起きしたらいいことありますよ〜、的な感じで早起きすることはとってもいいことなんだぞ。 げんに俺は得したよ。 ヴィヴィオと遊べるんだ。 これは睡眠よりも優先するべきところだよ」

 そういって、ひょっとこは「遊ぶか」と、オセロを取り出したのだった。



           ☆



 遊び倒して2時間。 ひょっとこがいつも起きる時間がやってきた。 普段はそこからいつも通りの日常が展開されるのだが──今日は一味違っていた。

「すずしいね、おにいさん!」

「だな〜。 ガーくんもそう思うだろ?」

「オモウオモウ!」

 朝の住宅街の道には、ヴィヴィオの手を握りながら歩くひょっとこと、ひょっとこの手を握りながら歩くヴィヴィオの姿があった。 そしてヴィヴィオの横をトテトテと歩くアヒルのガーくん。

 季節は夏であるが、朝方5時という時間帯は、散歩するには気持ちのいい気温になっていた。

 といっても、それはひょっとこの基準でしかないので、一応としてひょっとこの手にはヴィヴィオに着せる長袖のパーカーがあるのだが──ヴィヴィオの顔を見る限り必要なかったらしい。

 すると、二人と一匹の前から犬を連れた──犬に連れられたじいさんが歩いてきた。

「よおじいさん。 今回はリール持ってるんだな」

「おお、ひょっとこくん……」

「あの……じいさん大丈夫か? なんかいつ死んでもおかしくない状態になってきたぞ」

「大丈夫や……ばあさんがまだまだハッスルしてるけん……もうちょっとがんばらんと……」

 ばあさん半端ねえ……。 そう素直に思うひょっとこ。

 ふと、おじいさんがひょっとこの手を離してしゃがみ込みながら犬を見ているヴィヴィオに目を向けた。

「おお……ひょっとこくんの娘さんかな……」

「まあ、そんなところだよ。 ヴィヴィオっていうんだ。 可愛いだろ?」

「子どもは宝だしのう……」

 二人してヴィヴィオをみる。 当人のヴィヴィオは、犬に触ろうと必死に手を伸ばしている最中である。

 ふさぁ。

「あ、ふかふかぁ……」

 犬の体毛に触り、満足げなヴィヴィオ。 その笑顔はひまわりのごとく可愛らしい──が

 ワンワン! ワンワン!

「ひゃうっ!?」

 犬の一声で笑顔は引っ込んで、逆に泣き顔になってしまった。

 なおも吠える犬

ワンワン! ワンワン!

「これこれ、そう吠えちゃいかんよ。 ごめんのう、ひょっとこくん」

 困ったように頭をかくおじいさん。

「いや、大丈夫だよ。 ほら、ヴィヴィオ。 犬さんはヴィヴィオに『おはよー』って挨拶したんだよー。 こわくないよー?」

 ひょっとこの足にしがみつくヴィヴィオを抱きながらひょっとこはそうヴィヴィオに説明する。

 けれども、ヴィヴィオはひょっとこの胸あたりを握りしめながらフルフルと首を振った。 ヴィヴィオがペットショップで触れ合っている犬は子犬であり、ヴィヴィオに大きな声で吠えたりすることがないので急に吠えられたヴィヴィオはすっかりと怯えていた。

 犬が吠えることはヴィヴィオも知っているし、おじいさんの犬よりも大型な犬の吠え声も聞いているのだが、やはり実際に聞くのと、映像でみるのは違うみたいだ。 その証拠が現在のヴィヴィオである。

 みると、アヒルはヴィヴィオに吠えた犬を威嚇するようにヤルカッ!ヤルカッ! と叫んでいる。

 こちらもこちらで、ご主人様を泣かせた犬に怒っているらしい。

「落ち着けガーくん。 アヒルとイヌの異種格闘バトルはまたの機会にでもしとこうぜ」

 ガーくんの頭を撫でて、なだめるひょっとこ。 ヴィヴィオが胸に抱きついているので、ちょっと姿勢が悪いがそこはしょうがない。

「ほっほ、ひょっとこくん。 なかなかいいパパしとるみたいじゃないか……。 え〜っと、ヴィヴィオちゃんだったかの? 怖がらせてごめんのー……」

 そういってポケットからヴェルタースオリジナルを取り出し、ヴィヴィオの前に差し出す。 おじいさんなりにごめんなさいのつもりなんだろう。

 一度ひょっとこの顔をみるヴィヴィオ。

「おじいさんも、ワンちゃんもごめんなさいだって。 ヴィヴィオはどうする?」

 ヴィヴィオはそれに首をたてに頷いて、ヴェルタースオリジナルを受け取った。 破顔するおじいさん。 その顔は、孫を可愛がるようであった。

 一方──

「ユルサナイ!」

ワンワン! ワンワン!

「だからやめろってば」

 ガーくんとイヌは戦っていた。



           ☆



 おじいさんと犬と別れてから30分。 依然ヴィヴィオはひょっとこの胸の中にいた。 抱きかかえられていた。 いや、ひょっとこは何度か降ろそうとしたのだが、そのたびにヴィヴィオに反対されたのだ。

 これでは散歩にならないのだが──そこを許してしまうのが、高町なのはに甘いと言われる証拠なのだろう。

「さっきは驚いちゃったな〜。 犬さんワンワン吠えたもんな〜」

「うん……」

 すっかり口数が少なくなってしまったヴィヴィオ。 そんなヴィヴィオをみて、どうしたもんか……と考えたひょっとこだが──あることを思い出し、ある団体を思い出し、その場所に足を運ぶことにした。

「真面目なあいつらのことだ。 もう練習してるだろう」

 そう確信をもちながら、ひょっとこは元犯罪者の巣窟場所に向かった。

 はたして、ひょっとこが足を運んだ場所には確かにある団体がいた。 ミッド郊外の大きな広場にその団体はいた。 各々が奇抜な恰好とをしながら早朝練習をやっていた。

「よーす、水納。 練習はかどってるー?」

「あ、ひょっとこ!」

 シルクハットに黒ステッキ。 黒いコートを纏っているいかにも不審者っぽい男の名前は|水納侘須家流《みなたすける》。 ひょっとこがバイト中に知り合った人物である。 善行の体現者といっても過言ではないこの男は、依然犯罪者を名乗っていたのだが、とある事情でサーカス団を目指すことになった。 例によって、ひょっとこの言葉によって。 ここらへんにいる全員でサーカス団をやることになった。

「あれ? 団長はきてないの?」

「団長なら自分のサーカスがあるから、この頃はきてないな。 いまは自分たちで反復練習の真っ最中」

「ふ〜ん……それじゃもうすぐかもな。 団長のサーカス団がここにくるのも」

「タチミサーカス団だよな。 世界的に有名な」

「マックスをはじめ、みんな一流だからな」

 毎回毎回、喋るたびにトランプ投げる癖はやめてほしいけど。 そう肩をすくめるひょっとこ。

 それに水納も軽く同意する。

そ うして、二人で話しをしていると──クイクイとひょっとこの体に服を引っ張る感触が訪れた。 例外に及ばず、抱かれていたヴィヴィオがひょっとこの意識を自分のほうにむけさせたのだ。

「だ〜れ?」

「ああ、この人はサーカス団の団長さん。 一番偉い人だよ。 水納、この娘はヴィヴィオ。 俺の家族なんだ」

 説明を受けた水納がヴィヴィオに軽く一礼し、ゆっくりとヴィヴィオの前に手を差し出す。 クエッションマークを浮かべるヴィヴィオ。 そして次の瞬間──

「わぁっ!」

 ポンッとヴィヴィオの目の前に一束の花が現れた。

「どうぞ、お嬢ちゃん」

「ありがとう!」

 ニコニコとした笑顔で花束を受け取り、ひょっとこに見せびらかす。 そんなヴィヴィオにひょっとこは笑みを返す。

「すげえな、水納。 手品というか……奇跡みたいだ」

「これくらいしないと、団長は務まらないさ」

 素直に感心するひょっとこに、ちょっとだけ自信ありげに返す水納。 やはりというか、なんというか、褒められるのは嬉しいみたいだ。

「それで、結局なにしにきたんだ?」

「ああ、そうだった。 いやさ、ヴィヴィオにお前らの芸を見せたいな〜っと思い来たんだ」

「うぅむ……まだ人様に見せれる段階では──」

「まあ、そうだよな。 お前らみたいなヘッポコサーカス団の芸なんてみても、時間の無駄だよな」

「てめえら! 準備はいいか!!」

『よっしゃああああああああああああああああああ!!!』

 なんとも乗せやすい連中になったもんだ。 そうひょっとこは心の中で思ったのであった。

 水納たちのサーカスはまだまだ力が足りないながらも、ヴィヴィオを満足させるほどの力はあったようで、結果だけをみるならばひょっとこもヴィヴィオも満足であった。

 ひょっとこは知人たちの練習の成果と、ヴィヴィオの笑顔をみることができて。 ヴィヴィオはサーカスの芸をみることができて、満足していた。

 なかでもヴィヴィオのお気に入りは、ピエロが玉乗りしながらジャグリングするという内容であった。

 最後はピエロらしくおどけながら玉から転げる。 それがヴィヴィオのツボにはいったようで、ひょっとこの膝の上で大はしゃぎでしていた。

 つかの間の楽しい時間も終わり、家に帰ってきたひょっとことヴィヴィオ。 時刻は7時になっていた。 いつもならば二人が起きている時間帯であるが、リビングに降りていないので、ヴィヴィオにいって起こしてもらうことにした。

 その間に朝食を作ろうと、自分は台所に立った──ところで、家の電話が鳴った。

 慌てて電話に出るひょっとこ。 そして驚く。 その電話口の相手に驚く。 そして内容に驚く。

『話したいことがあるから、お昼に家に来てもらえないかしら?』

 電話口の相手、リンディ・ハラオウンはそう言った。



           ☆



 リンディさんに電話をもらった俺は、なのはとフェイトに頼んでヴィヴィオを六課に連れていってもらい、一人でリンディさんの家にきた。 ハラオウン家にきていた。 一人で来い、とまでは言われていないけど内容はアレくらいしか思いつかないので、仕事の邪魔になるかもしれないが二人にヴィヴィオを預ける形になってしまった。

 ……いや、そもそも六課は仕事してないうえに、ヴィヴィオもなのは達のことを“ママ”と呼んでいるんだよな。 ぶっちゃけ、六課にいるほうがいいのかもしれない……。 いや、でも──

 などなど考えながら、チャイムを鳴らす。

 数秒おいて──

「どうも、エイミィさん。 お久しぶりです」

「俊君もお久しぶり〜。 ごめんね、今日は呼び出しちゃって」

「いえいえ、無職はなにかと暇ですから。 それじゃ、お邪魔しますね」

 出迎えてくれたのはクロノの嫁であるところの、エイミィさん。 ──と、二人の子どもたち。 俺を不思議そうに見上げてくる二人に、しゃがみ込みながら挨拶をしてポケットにいれていたアメをあげる。

 ……やっぱヴィヴィオのほうが可愛いな。

「あ、俊。 やっときたんだ」

「おおルドルフ、久しぶりだな」

「いや、アルフだから。 フェイトは元気にしてる?」

「勿論、いつも可愛いぜ」

「基準が可愛いのか可愛くないのかってのは人としてどうなのよ?」

 いや、でも可愛いし。 めっちゃエロエロだし。

 廊下を歩き、リビングに入る。

 そこには、フェイトのお義母さんであるリンディ・ハラオウンとなのはの両親である高町士郎と高町桃子がいた。 いや、少し離れたところにはクロノもいる。 今頃仕事のはずなのに、こいつが此処にいるとは珍しい。 ──そんな珍しい事態が起きているのか。

「どうも、お義母さん。 いつみても麗しく素敵ですね」

「ありがと。 そんなあなたはいつみても殴り倒したくなるわ」

「おいクロノ。 俺とリンディさんの間に次元の歪みがでてないか?」

「至って正常だ」

「マジか。 リンディさんツンデレすぎ、カワユイ」

「お前のポジティブさがうらやましいよ。 いいから座れ」

 そういって床を指さすクロノ。

 ここは素直に従っておくことに。

 正座して対面する。

 ここらで軽く登場人物を説明しておこうと思う。

 リンディ・ハラオウン。 フェイトのお義母さんであり、俺が将来的にお義母さんと呼ぶ存在。 時空管理局に勤めていた過去をもつ。 PT事件、闇の書事件、両方の事件の関係者でもある。 俺もなのはもフェイトもこの人には色々とお世話になったものだ。

 高町士郎。 独りになった俺を引き取ってくれた張本人である。 武人として、親として、尊敬する方である。 なのはの父親であり、将来的にはお義父さんになる。

 俺を鍛えてくれたのはこの人であり、そのおかげで今でも生き延びてます。 まあ、上矢は基本スペックが高い、と士郎さんは言っていたけど、それを最大限に引き伸ばしてくれたのは間違いなくこの人だよな。 俺が小さいときは危ない仕事をしていたみたいだが、父さんと母さんの事件以降、喫茶店翠屋を経営することに。 ちなみに高校時代には此処でバイトをさせていただいた。

 高町桃子。 独りになった俺を優しく、ときには厳しく、我が子のように扱ってくれた方。 なのはの母親であり、将来的にはお義母さんになる。 なのは同様に栗色の髪で、いや、なのはが母親同様の髪の毛の色なのかな。 とにかく美しい。 しかしながら、若干Sであり、なんどか苦い経験がある。

 絶対になのはは桃子さんの血を濃く受け継いでいる。 あいつも若干Sなんだよな。

 そんなこんなで紹介終わり。 ……というか、この人たち年齢を考えればかなりの年だと思うけど……見た目全然変わんないよな。 いくら年齢に合わせて老けさせると外野が煩いかもしれないからといって、ほとんど見た目変わらないのはどうかと思うんだ。 年齢詐称もいいところだぜ。 まったく、どこの魔法少女ものだよ。

 ああ、クロノの紹介してなかった。

 クロノ。 友達

 以上。

「……面倒ならそう言え」

「いや、だってほら。 登場回数多いとお前のキャラが大変なことになるしさ。 俺なりの配慮だぞ?」

「……確かに、あまり登場しないほうがいいかもしれないな。 それじゃいいか」

 クロノにそう言葉をかけると、あっさりと引き下がった。 お前はどんだけ登場したくないんだよ。

 と──ふとみると、リンディさんのこめかみがヒクヒクと動いていた。 どうやら、リンディさんは我慢の限界のようだ。

 さてさて、それではメタ発言も終わりにして真剣にやりますか。

 なんせ──ヴィヴィオとの生活が懸かってるんだしな。



           ☆



「それじゃ、ひょっとこさんは現在フェイトさんのお母さんの家にいるんですか?」

「うん。 まあ……死ななきゃいいけど……」

「ちょっ なんで家にお邪魔するだけでそんな生死をかけたバトルに行くようなコメントを」

「いや、俊くんにしてみれば生死がかかってるよね」

 なのはとフェイトがヴィヴィオを連れて六課に出勤して30分。 卓上に紅茶とケーキを置いた面々は、今日のひょっとこの御呼ばれについて話していた。

「そもそも、ひょっとこさんとリンディさんってそれほど仲が悪いんですか?」

「仲が悪いというか……」

「お義母さんが俊のことを避けている感じかな……?」

 ティアの言葉に、なのはとフェイトが互いに顔を見合わせながら話す。

「むしろアイツに苦手意識があるように思うんよ〜。 リンディさんの場合」

 そういうのは六課の部隊長である八神はやてである。

「苦手意識……ですか?」

「そうそう。 まあ、憶測でしかないんやけど」

 そう言って紅茶を一口。

 六課の仕事場の少しだけ大きい面積がある所では、ガーくんがバク転をキャロとエリオに披露していた。

「けどまあ……苦手意識はあるかもなー。 あたしだってアイツと戦う機会があったのなら思わず足を一歩引くかもしれねえし」

「えっ!? ヴィータさんがですか!?」

 何気なく呟いたヴィータのセリフに、ティアは驚き立ち上がる。 それはそうだろう。 なんせ今のセリフを吐いたのが、あのヴィータなのだから。 ベルカの守護騎士であるヴィータなのだから。

 それに同意するように、隊長メンバーが頷く。

「まあ、確かにアイツと戦うのは面倒やな」

「ストレスで過労死しそうだよね」

 次々と、そう口にする隊長陣に、ティアは思わず聞き返す。

「もしかして……ひょっとこさんって強いんですか……? 魔導師ランクにしたら私より強い、みたいなご都合主義的展開に……」

 『いや、全然。 やろうと思えば隊長陣なら魔法で一発だよ』

 全員が首を振りながらそう答えた。

 ますます混乱するティア。 ちなみに隣にいたスバルは、早い段階でアヒルのほうに行ってしまった。

 混乱するティアに、はやては笑いながら答える。

「まあ、アレや。 アイツは『敵にまわすと恐ろしく、味方にすると頭が痛くなる存在』やからな〜。 一番いらんタイプやで」

「……ひょっとこさんが、ちょっと不憫になってきたのですが……」

 しかしその答えは的を射ていたのか、そこにいる全員が頷いた。

 そんな中、高町なのはが何かを思いついたかのように言った。

「あ、でもでも! 隣にいると安心しない?」

『え゛っ』

 2名の人物を除いて、全員の頬が歪んだ瞬間であった。



           ☆



 なのはママがてをブンブンふりながら『違うの! それは誤解だから!? わたしはペット的な意味を込めて言ったの!』 と、みんなにむかってはなしている。

 う〜ん、いったいなにをはなしてるんだろう? フェイトママも、『なんでいま頷いたんだろう……』とかいってるし、あとできいてみようかな?

わたしはバクてんをきめたガーくんをだきながら、いっしょにしゃがんでみていたスバルンにはなしかける。

「ねーねースバルン?」

「ん〜? ヴィヴィオちゃんどうしたの〜?」

「パパって、な〜に?」

「う〜ん……これは難しいなぁ。 エリオとキャロはなんだと思う?」

「え? 僕ですか!? え〜っと……優しくて、遊んでくれる人でしょうか?」

「私は……優しくて、いつも私たちのことを気にかけてくれる人かな? まあ、それに当てはまるのはあの人しか該当しませんが」

「あの人って、そんな人だっけ? もっと下種で姑息で卑怯な人じゃない?」

「本当にそんな人だったら、お二人が家に置いておくとは思えませんよ?」

「う〜ん……言われてみれば確かに、一理あるかも」

 う〜ん……あのひとってだ〜れ?

「ねえねえ、あのひとってだ〜れ?」

「へ? そりゃ……秘密だよ!」

「え〜!」

 スバルンがくちのまえでバッテンをつくる。 ずるいずるい! ヴィヴィオもしりたいのに……。

「それにしてもヴィヴィオちゃん。 いったい、どうしていきなり、パパが何なのか、なんて聞いてきたの?」

「えっとね、あさにね、おにいさんとおさんぽしてたらワンワンつれたおじいちゃんがおにいさんにいってたの。 おにいさんはパパなんだって」

「これはこれは」

「なんというか」

「ひょっとこさん、いまだにパパじゃないことに泣きそうだね」

 みんながなみだをふくどうさをする。

 そしていきなり、スバルンがヴィヴィオをだっこしてくれた。

「あんまり考えなくていいんじゃないかな? とりあえずは、ヴィヴィオちゃんが大好きな人をパパってことにしたら? あ、あくまで一人だけだよ? そうしないと、将来的にひょっとこさんが相手を殺しかねないから」

「ビジョンが容易に浮かびますね」

 わたしはガーくんをだきながらかんがえる。

 だいすきなひと? それってなのはママやフェイトママみたいな?

 それじゃぁ、ヴィヴィオのだいすきなひとは──



           ☆



「いや〜、まさかリンディさんの家でバインドで縛られるとは……これから逆レイプでもされるんですかね? あ、ゴムつけてくださいね? 妊娠したら困りますから」

 リンディさんが冷たい目で俺を見てくる。 いやはや、なんというか……年上の冷たい視線はかなりゾクゾクするよな。

 現在の状況は至って簡単である。 クロノのバインドに縛られた状態で床の上に正座させられてます。

「俊君……もしかして育て方を間違えたのか……」

「士郎さん……」

「あのー、お二人とも。 マジで抱き合うのはやめてくれませんか? 育ててくれたお二人にそんな顔されると、軽口が言えなくなってしまうのですが……」

「では真面目に話し合わないか? 俊君」

「無理ですよ、士郎さん」

 話し合うもなにも──

「そちらはヴィヴィオを預かるんでしょう? こちらはヴィヴィオを育てるって言ってるんですよ。 話し合うもなにもないですってば」

 リンディさんたちの要求は簡単なものだった。

 要約すると、ヴィヴィオを預かる、ということである。

 預かるといっても、なにも強引に引きはがすわけではない。 ただ──俺たちの家じゃなく、リンディさんの家に引っ越す、というだけの話である。

「俊君。 なにもべつに、キミたちの仲を引き剥がそうというわけではない。 ただ、少し冷静になって考えてはどうだ? そういっているのだよ。 考えてもみてくれ。 19歳のキミたちが5歳の女の子の親になるわけだ。 子育ての経験がない君たちよりも、リンディさんに任せてみてはどうだろうか? 俺たちも仕事があるから面倒を見てやることができないかもしれないが、リンディさんならばそれが可能だ。 君やなのはやフェイトちゃんだって、来たいときに来ることができるだろう」

 確かにそうかもしれない。 なにも、ヴィヴィオに会えないわけではない。 だけれど──

「それは無理ですよ。 友の約束を反故にすることなんて僕にはできませんね」

「やっぱり、今回も約束だったのね」

 俺と士郎さんの会話を聞いていたリンディさんが、溜息をつきながらそう呟いた。

「あなたは、約束がなかったら、ヴィヴィオという女の子をどうするつもりかしら? いや、言い方を変えましょうか。 約束がなかったら、ヴィヴィオという女の子を手放すことができるのかしら?」

「……どういう意味ですか?」

「いつもいつも思っていたのよ。 あなたは自分を蔑ろにすることに躊躇いがまったくないわ。 そのかわりに、誰かのために動くことが大好きな人間よ。 自己犠牲こそが人生、そんな自分に酔っているのがあなたよ。 ねぇ、俊君。 そんな人生──楽しいかしら?」

 ……まいったね、これは本当にまいった。 いつの間にか俺の人生観にシフトチェンジしてるもん。 ギャグにすることができないじゃん。

「べつに誰かのために動くのが好きな人間じゃありませんよ。 特定の人物のために動くのが好きってだけです」

「変わった男ね」

「変わった男です」

 だからせめて、軽く話す。 終わらせる。

 桃子さんが俺に話しかけてくる

「ねぇ、俊くん。 俊ちゃん?」

 いや、べつに言い直さなくていいですよ?

「俊ちゃんは、どうしてそこまでしてリンディさんの所に預けるのが嫌なのかしら? べつにリンディさんが嫌いってわけじゃないのよね?」

「ええ、俺はリンディさんのこと大好きですよ。 士郎さんも桃子さんも大好きです。 けど──ヴィヴィオも大好きなんです」

「あらあら……」

 桃子さんが困ったように頬に手をおく。

「すいません、先に謝っておきます。 ごめんなさい。 俺、いまから卑怯な手段使いますね」

 そういって頭を下げる。 バインドで縛られたまま、土下座にも等しいお辞儀をする。 これから俺が喋ることは、俺の境遇を利用した卑怯で姑息な手段だから。 だから先に謝っておくことにした。

 そして俺は喋り出す。

 士郎さんと桃子さんに問いかける

「士郎さん、桃子さん。 お二人が俺を引き取ったとき、迷惑だな〜って思いました?」

 卑怯な手段その壱である

「いや、そんなこと微塵も思わなかったよ」

「そうよぉ。 俊ちゃんは家族なんだから!」

 士郎さんと桃子さんが力強く答える。 ほんとうに、俺を育ててくれたのが、このお二人でよかったと、心の底から思える。

「ありがとうございます。 ところで、ちょっとお時間もらって自分語りでもしていいですかね?」

 姑息な手段その壱である

「上矢俊という存在は小さい頃に一度壊れてしまったんです。 完膚なきまでに、粉々に壊されてしまいました。 心と体が引きはがされました。 人形になりました。 人でなしになりました。 廃人になりました。 そして、人間もどきになりました。 高町なのはとフェイト・テスタロッサに救われた俺ですが、それでも俺は人間もどきなんです。 一度壊れた人間は、人間に戻ることなんてできません。 できたてのご飯と、温めなおしたご飯が別物であるように、俺もきっと、細かにみるならば人間じゃないんだと思います。 まあ、生物的には人間に入るんですけどね。 それでも俺は、毎日楽しく生きてます。 だから俺はいま幸せなんです。 けど、俺って人間もどきだから、心のどこかでは“家族”を作ることができないんじゃないかと思っていました。 勿論、俺はなのはやフェイトと結婚したいです。 幸せになりたいです。 でも、正直なところ──家族ってものがあまりわかりませんでした。 こんなこというと、士郎さん達には申し訳ないのですが、俺にとっての家族は──俺にとっての両親は──あの二人だけなんです」

 いまなお、行方不明な両親だけが家族なのである。

 ごめんなさい、と二人に頭を下げる。

「すいません、こんな恩知らずなバカで。 勿論、高町家での生活は楽しかったです。 恭也さんや美由紀さん。 みんなみんな大好きです。 それでも──俺は父さんと母さんの幻影を追いかけているんです。 家族という幻影を追い求めているんです。 まさか、そんな俺がヴィヴィオを引き取ることになるなんて夢にも思いませんでした。 しかも女の子ですよ、女の子。 距離なんてわかるわけないですし、ヴィヴィオが漏らしたときなんかパニックになりましたよ。 きっと、世間一般からみれば──俺は子育てする能力が欠けていると思います。 その証拠に、なのはとフェイトには“ママ” 俺に“お兄さん” これはもう絶望的な違いですね。 何度枕を濡らしたことか。 『なんでお兄さんなんだよーー!』って叫びたいです、問い詰めたいです。 けど──ヴィヴィオの笑顔をみると、そんなことどうでもよくなるんです。 ヴィヴィオの声を聞くだけで、嬉しくなるんです。 ヴィヴィオと遊べるだけで幸せになるんです。 ヴィヴィオと飯を食うだけで心が弾むんです」

 きっと──これは一種の病気なんだと思う。

「俺にとって、ヴィヴィオはもう娘なんです。 どうしようもなく愛しいんです。 ──どうかお願いします。 ヴィヴィオと──大好きなヴィヴィオと──離れたくないんです。 信じてくださいなんて言えません。 任せてくださいなんて言いません。 だからどうか──見逃してください」

 頭を下げる。 土下座する。

 顔を上げると、三人がなんともバツの悪そうな顔をしていた。

「べつに……私はあなたたちの仲を引き裂こうなんて考えていないわよ……。 ただ、ちょっと試したというか、なんというか……。 な、なによ、私が悪者みたいになっちゃったじゃないの……。 心配してるのに……」

 リンディさんが小さい声で、ボソボソと呟く。 何と言っているかわかりません。

 代わりに、士郎さんが俺に問う。

「子育ては大変だぞ? できるのか?」

「なんとかなりますよ」

「パパは大変だぞ?」

「恋人ができようものなら、恋人ぶち殺しに行く覚悟はできてます」

「いや……その覚悟は捨てておけ」

 士郎さんと話していると、ちょうどいいタイミングで携帯が鳴った。 ふとみると、バインドが解かれていた。 やっぱ話わかるやつだな、クロノっち。

 電話の相手は、なのはだったので、耳に当てながらなのはの声を聞く。

「もしもし? どしたの?」

『いや、ヴィヴィオが俊くんと話したいって聞かなくて』

「ヴィヴィオが? なんだろうか」

『いま代わるね。 はい、ヴィヴィオ』

 一拍して、ヴィヴィオの声が聞こえてくる。

『えっと……なのはママ……やっぱ恥ずかしいよぉ……』

「ん? どうしたんだ、ヴィヴィオ?」

 電話越しでモジモジとするヴィヴィオが目に浮かぶ。 萌える。

『えっとね……? ──パパ、だいすき』

「……え……?」

『……俊くん。 どういうことかな? ちょっとゆっくり話し合おうよ……』

「えっ……!?」

 いきなりピンチになってしまった。 これはどういうことなんだ?

 なんでなのはがいきなりドスの利いた声で、俺に脅しをかけてくるのかはまったくもって意味不明ではあるが──

「……なのはママ。 家族みんなで家でトランプでもしないか、今すぐに」

『えー、仕事サボりはよくないのに。 でもまあ……たまにはいっか。 それじゃ、いまから帰るね、パパ』

 互いに電話を切る。

「……士郎さん。 家族っていいものですね」

「あぁ、家族を背負ったパパは最強だからな」

 士郎さんが、俺の背中を軽く押す。

「いってこい。 たまには顔出すんだぞ。 それと俊君。 キミがどう思おうと──キミは俺の自慢の息子だ。 その事実だけは変わらないよ」

 その言葉に目頭が熱くなる。 こんな人でなしにもそう言ってくれる、士郎さんの心の広さに感服する。

「……ありがとうございます」

 頭を下げ、リビングから立ち去る──直前に、桃子さんが後ろから抱きついてきた。

「ふふ、俊ちゃん。 私、いいこと思いついたわ。 私や士郎さんのことを、父さんと母さんと呼べないのなら“パパ”と“ママ”と呼びなさい。 あ、ちなみに強制よ?」

「えっ!?」

「はは、それはいい。 ほら、いってごらん俊君」

 は……恥ずかしすぎるっ!? なんでこの年にもなって、ガチでパパとママなんて言わなければいけないんだ!? これは拷問か!? さっきまでの仕返しか!?

「あー……そのー……ありがと……──と──」

「ふふ、どういたしまして」

 そうして離れる桃子さん。 この人には一生頭が上がらないな。

「それとリンディさん。 いつもいつも、ありがとうございます。 俺、リンディさんの嫌味──大好きですよ。 なんか年の離れた姉さんがいるみたいです。 それじゃ、俺は家に帰ります。 家族が待っていますので」

 ツンとそっぽ向くリンディさんにそういって、俺は家を後にした。



           ☆



「ただいまー!」

 元気よくドアを開ける。 どうやら俺より三人のほうが早かったみたいだ。

 ドタドタと元気よくヴィヴィオが俺に向かって駆けてくる。 そして──

「おかえり! パパ!」

 と、抱きついてきた。

「ただいま、ヴィヴィオ」

 俺もヴィヴィオを強く抱きしめる。 愛おしくて抱きしめる。

 遅れてなのはとフェイトが俺を迎えてくれた。 やれやれ……とでもいいたそうな顔である。

「おかえり、俊くん。 どうだった、リンディさんの家は」

「死ぬかと思った」

「他に誰かきてたの?」

「士郎さんと桃子さんがきてたよ」

「えっ!? お父さんとお母さんがきたの!?」

 なのはが驚く。 いやまあ……そりゃ驚くか。

 ん? そういえば、なんだかこの状況って──

「まるで旦那の帰りをまっていた嫁と娘の図だよな」

 うん、我ながらこの状況にピッタリだ。 そしてちょっぴり憧れていたので嬉しい。 仕事してないもんな、俺。

 するとヴィヴィオが、俺の袖をクイクイと動かしたので、ヴィヴィオのほうに顔を向けると──チュッと可愛らしいキスをしてくれた。

「えへへ、パパいつもありがと!」

 ヴィヴィオの屈託ない笑顔に、こちらも笑顔になる。 ぐしゃぐしゃとヴィヴィオの頭を撫でまわす。

「こちらこそありがとな、ヴィヴィオ」

 そういって二人で笑い合う。 すると──ポンと手を両肩に置かれた。 決して逃さず、抵抗できない力加減である。 流石、管理局員。 肩が死にそうなんですけど。

「ん? どしたの、二人とも?」

「いやー、まあ……なんというか……」

「そのー、ねぇ。 緊急家族会議しよっか」

「え? なんで? というかなんの?」

「「そりゃぁ……旦那が娘に欲情しないようにかなぁ……?」」

「ちょっとまって。 自分たちでも疑問を浮かべてるならやめようぜ。 マジ怖いって。 お前らが思っている以上にレイハさんとバルさんが首筋に触れられている感触は怖いって」

「「キリキリ歩く。 立場をわからせてあげるから」」

 二人に両脇を固められながら、ヴィヴィオがついてくるのを確認して心の中で、父さんと母さんに話しかける。

 父さん、母さん。 俺にも家族ができました。 可愛い可愛い娘です。 一生を賭けて守りたい存在です。

 もしかしたら、歪で変な家族かもしれませんが、俺はとっても幸せです。

 どこにいるのかはまだわかりませんが、いつか必ず見つけ出し、紹介したいと思います。

 その時まで、どうか元気でいてくださいね。




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