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64.少しの休憩



『ジャンケン! ポン!』

「やったー、俊くんの一人負けー! グ・リ・コ」

「むむっ……俺がジャンケンで負けるとは。 しかも一発負け」

 青い快晴と、綺麗な空気、燦々と照りつける太陽の元、俺たち家族は朝食を無事に取り先程海鳴市にやってきた。 どうせ遅れたから、急いで行く必要もないかもな〜、なんてことを話しながら歩いていると階段を見つけたので、現在はグリコの真っ最中である。 しかし俺は不調のためか二連続負け。 ゲーマーとして恥ずかしい限りである。

 さてさて、俺がチョキをだし他の三人はグーを出したので多少進んでしまったが、まだまだ挽回できるチャンスはある。

 ふっ──ここからがグリコの本番だぜ?

「「「グリコのおもちゃってなんであんなに購買意欲を駆り立てるのかな? 私はまだまだその境地にまで達してはいないが、いずれその謎を解くことができるかもしれない。 それまではキミにこの暗号を残しておこうと思う。 大丈夫──すぐに戻ってくるさ」」」

「これで登り終わっちゃったね」

「俊くんの負けー! それじゃ荷物お願いね!」

「パパー、ありがとー!」

 いつの間にか本番が終わっていた。

 いつからグリコはストーリー仕立てになったのだろうか。 そして何故三人とも声を合わせていまのセリフ言うことができるの? え? もしかして知らないの俺だけ?

「あの……流石にそれはノーカンでは……」

「えー? なにー? 聞こえないー!」

 なのはがわざとらしく耳をメガホンの形にして上から聞いてくる。 今日のなのはの服装は白のワンピース。 胸元に赤いリボンをつけていてこれがなんとも可愛らしい。

 フェイトの服装は赤のミニスカチェックにフリルがところどころついている白シャツ、それに黒いネクタイをつけている、このネクタイが適度な長さでなんともプリティ。 それとなぜかツインテールにしてる、ツインは大好きなので嬉しい。

 ヴィヴィオは俺が前作ったアリス風の服に身を包んでいる。 前と変わっている所といえば頭に麦わら帽子を被っているところだろうか。 夏は暑い上に熱中症になるかもしれないので、こういった予防はしてもし足りないくらいである。 ああそれと、肩からヴィヴィオようの可愛らしい水筒を持たせている。 ウサ耳の女の子がパンツを見られて怒っている絵柄が描かれている。 勿論描いたのは俺。 なのはとフェイトには気持ち悪がれたが、ヴィヴィオが喜んでくれているので問題ない。

 そしてヴィヴィオの隣にいるアヒルのガーくん。 今日も今日とてその純白の白い体をヴィヴィオを狙う不届き者の返り血で汚れないか心配である。 まあ、ガーくんにはそういった輩は半殺しにしていいと言っているわけなのだが。

 そして俺の服装は七分の黒ズボンにオレンジのシャツである。 何か羽織るものをと思ったわけだが、暑いので止めた。

 しかしながら、このなのはのしてやったりみたいな顔はなんか気に食わない。 こう……ムカツクな。

「……あっ」

 なのはとフェイトの方向をマジマジとみていると──軽い風が辺りを駆け巡り、それによって二人のスカートの中のパンツがみえてしまった。

 高町なのは&フェイト・T・ハラオウン、ともに縞パン。

 繰り返す

 高町なのは&フェイト・T・ハラオウン、ともに縞パン。

「なのはが縞パンは理解できるが、何故フェイトまぶっ!?」

「「へ、変態!!」」

 何故フェイトが縞パンなのかについて考察しようとしたところで、空中から──正確にいうならば二人の方向から荷物が飛んできて、それが俺の顔面に見事に直撃した。

「いや……これは完全に俺悪くないだろ。 あれか? 俺が風の聖痕もってるとでもいいたいのか? もし持ってたら俺の前方に常に強風波浪注意報に出るくらいの風を起こしてるに決まってんだろ。 恋の波をたてちゃうよ?」

「「エッチ! スケベ! バーカ!」」

 ぐぬぬ……! 否定できない……!

 流石魔導師、敵をよく知り尽くしているようだ。

 溜息を一つ空気に溶けさせながら、投げられた荷物バックを取る。 もともとヴィヴィオのバックは俺がもっているのだが、これで全員分の荷物を持つハメに。

「これもパパの仕事の一つなのかねぇ」

 それにしても二人とも、俺が縞パン大好きって知ってるのかな?



           ☆



 重い荷物を持ちながら、なんとか高町家にやってきた。 いやー、道中は二人とも口聞いてくれませんでしたよ。 まったく……ツンデレってのはこれだから困る。

「ヴィヴィオー、ここがママたちのお家だよー?」

「お〜」

 ヴィヴィオが高町家を見ながらそんな声を上げる。 可愛いにもほどがある。

「まぁ、とりあえず入るか」

 俺の言葉に三人とも頷いたので、玄関に手をかけ開けようとする──ところで内側から誰かが玄関を開けてきた。

「やっときたか、俊。 おかえり、まってたぞ」

 玄関の内側から出てきたのは、なのはの兄にして俺の兄のような存在でもある高町恭也さん。 ありえないほど強い。 なんか主人公属性とかついてそうなほどの強さを有している。

「ははっ、ただいま帰りました。 すいません、ちょっと予定ずれちゃって」

「お前たちが無事に帰ってきてくれたのならばそれでいいさ。 それより疲れただろう、翠屋に行く前に休憩していかないか?」

「うーん……」

 チラリとヴィヴィオをみると視線が合った。

「ヴィヴィオ、疲れた?」
 
「だいじょうぶー!」

「俺が疲れたから休憩しよっか」

「俊くん、いまもしかしてヴィヴィオをダシに使った?」

 だって俺だけだと恥ずかしいじゃん。

「まったく……このアホ幼馴染は……。 ただいま、お兄ちゃん。 お母さんたちからヴィヴィオのことは聞いてる?」

「ああ、聞いてるよ」

 なのはからの問いに答えた恭也さんは、しゃがみ込みヴィヴィオの目線に合わせて頭に手を置きながら挨拶をした。

「こんにちは、よくきたね。 俺はなのはや俊のお兄ちゃんの恭也だよ。 ここはキミの家だと思って|寛《くつろ》いでいってくれ」

「こんにちは、ヴィヴィオです!」

 そんな恭也さんの挨拶にヴィヴィオも笑顔で答える。

「えらいな、ちゃんと挨拶ができて。 これもなのはとフェイトちゃんの教育がいいからだろうか?」

「恭也さん、俺を抜かしてますよ」

「よかった……フェイトちゃん! わたし達、娘をちゃんと育てられてるみたいだよ!」

「うん! やったね、なのは!」

「なのは、フェイト。 俺を抜かしてますよ」

 二人で軽く泣きながら手を合わせてる光景は俺も嬉しいが、まさかここで戦力外通告を受けるとは思わなかった。

「ところで、このアヒルは?」

「あ、ガーくんといって、ヴィヴィオのペットです。 気を付けてください、ガーくん半端なく強いんで──」

 シュバッ

「……ほう。 いまの攻撃を避けるだけではなく、カウンターを決めにくるとは……」

「……イマノハ30%ダトイウコトヲ、ワスレルナ」

 何が起こったのか一瞬理解できなかったが、どうやら刹那の時間でガーくんと恭也さんはなにかアクションを起こしたらしい。 なんであんたらがハイレベルなバトルを繰り広げようとしてるんだ。

「ガーくん、めっ!」

「……ゴメンヴィヴィオ。 ガークンキヲツケル」

「えへへ、ガーくんいいこいいこ」

 ヴィヴィオに怒られて謝るガーくんの頭を撫でるヴィヴィオ。 まぁ、止めたヴィヴィオは偉いかな。

「ミッドにはこんな強敵が沢山いるのか……」

「誤解しないでお兄ちゃん。 ガーくんは別格なだけだから。 下手したら古龍にも勝てちゃうかもしれないくらい別格だから」

 ミッド生物の強さに恭也さんが考え込むが、横からなのはが困った顔をしながら訂正した。 うん、ガーくんなら古龍にも勝てそうだから困る。

「あの、お久しぶりです、恭也さん」

「ああ、フェイトちゃん。 いらっしゃい、フェイトちゃんも自分の家と思って寛いでくれ。 俊と一緒だと色々と疲れるだろ?」

「そんなことないですよ恭也さん。 いや、確かに夜の営み的な意味なら疲れますが、まあ僕も腰の振りすぎでちょっと腰痛なんですよね」

「現在進行形で疲れますね」

 どうもフェイトちゃんは乗ってこないようだ。 騎乗位より正常位がいいみたい。

「まあ、玄関で話すのもアレだから上がっていってくれ。 美由紀もすぐに帰ってくると思うから」

 恭也さん先頭で、久しぶりの高町家に入る。

 懐かしいなぁ



           ☆



「かわいいー! ヴィヴィオちゃんかわいいー!」

「うわっぷ! あふ!」

 案の定というかなんというか、買い物から帰ってきた美由紀さんはヴィヴィオの姿を見るや否や至る所を触りまくっている。

「あ、このアヒルもなのはたちの家族?」

「ええ、ヴィヴィオ専属の騎士みたいな感じです」

「へー」

 ヴィヴィオを膝に乗せながら、右手でガーくんを触る美由紀さん。

「お姉ちゃん!? ヴィヴィオがきつそうだからこっちに渡して!?」

 みるとヴィヴィオがあまりの手さばきに、

「あうあう〜……」

 と、グロッキー状態になっていた。 落ち着けガーくん。 大丈夫だから口からなにかエネルギー波を飛ばそうとするな。 どうやらガーくん、ちょっと地球に興奮気味なのかな? 普段はおとなしいのに。 それともはしゃいでるだけか?

 なのはが強引にヴィヴィオを奪い取り、ヴィヴィオに声をかけながら抱っこする。 隣にいるフェイトも心配なのかヴィヴィオの顔を覗き込んでいる。

「それにしても俊くんが娘をね〜。 やっぱり金髪だからフェイトちゃんとの子ども?」

 場の空気が固まった──気がした。

「いや、そういうわけではないんですけど……。 まぁ、色々とあるんです。 家族であることにはかわりありませんが」

 そういうと、美由紀さんはうんうんと頷いて、

「そうだよね、そう言っておかないと色々と大変だもんね。 なのはとの関係も壊れそうだし、なにより14歳で……みたいなことになってしまうし」

「俺を鬼畜な男設定にするのはやめてくれませんか?」

 皆が誤解したらどうすんだよ。

「そうだよお姉ちゃん。 俊くんはそんな人じゃないよ」

「なのは……」

「もっとゴミだよ」

「なのはさん、僕のトキメキ返してもらってもいいですか?」

 常に一緒にいたなのはの言葉なので、妙に説得力もあるし。

 それを聞いた美由紀さんは、にやにやとした笑みを浮かべながらなのはに耳打ちした。

「ち、ちちちちち違うに決まってるよ!? なにいってるのお姉ちゃん!?」

「頑張ってね! なのは!」

「だから違うってば!!」

 美由紀さんの耳打ちが終了したかと思えば、なのはが立ち上がりながら美由紀さんの肩を揺さぶりながら何かを否定していた。

「なにを否定してると思いますか、恭也さん。 俺の予想だと、『ほんとは俊のこと好きなんでしょ!』 みたいな内容を期待しているんですが」

「それはないだろ」

「ですよね」

 はぁ……悲しい。

 ふとフェイトのほうをみるとフェイトはヴィヴィオに自分のアイスティーを飲ましているところだった。

 俺の視線に気づいたのか、軽く手をあげる動作をして飲むか聞いてくるフェイト。 俺も頷くかわりに手を差し出すことで済ます。 フェイトから受け取ったコップでアイスティーを飲む。 うん、うまい。 少しレモンをかけてるのかな?

「って、いいのか俺が飲んで。 ヴィヴィオのアイスティーは──」

 既にガーくんが持ってきてるところであった。 このアヒル、誰よりも自分の家感覚で使ってるな。

 ヴィヴィオのためにガーくんがアイスティーを作っているのをみながらフェイトから渡されたアイスティーを飲む。

「俊、これもらっていい?」

「うんいいよ」

 自分の分であるオレンジジュースをフェイトに渡す。 それにしても、何故恭也さんは俺だけオレンジジュースにしたんだろ? あれか? 俺が子どもっぽいからか? ばかいえ! 俺ほどクールで大人な雰囲気を出せる人間なんて──あ、ロヴィータちゃんがいた。

 ロヴィータちゃんで思い出したけど、そろそろあいつらも来てるんじゃないか?

 そう思った瞬間、ポケットにいれていた携帯がバイブ機能で俺に知らせてくれる。

 携帯を取り出し、相手を確認。

「もしもし、はやてか? おはよう」

『おはよー。 もう着いた?』

「いま高町家にいるよ。 どうする? いまから翠屋行く?」

『そうやな〜、皆も八神家に荷物置いたし準備ええで?』

「それじゃいまから翠屋行くか。 まってるぞ、はやて」

『なんかデート気分を味わってるみたいや。 ほな、ちょっとだけアンタより遅くいくことにしよっかな』

「デートじゃないんだし遅れてくるなよ。 甘いお菓子なら待ち合わせ場所にあるし、あの時だってほとんど同じ時間だっただろ」

 それから二言くらい言葉を交わして電話を切る。

「さて、翠屋に行くか。 恭也さんと美由紀さんはどうします?」

「俺たちは待ってるさ。 ああ、母さんが遅いって愚痴ってたから気を付けていけよ?」

「うわぁー……どうしよ」

 何事もなければいいんだけど。




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