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14.コイキングの本気



 機動六課──それは八神はやてがあらゆる知人の後押しによって作られた少数人数で動ける精鋭部隊である。

 SSランクの八神はやてをはじめエースオブエースの高町なのは、その相棒とまで言われているフェイト・T・ハラオウン、一騎当千の力を持つといわれる守護騎士などなど、おおよそ通常では考えられない高ランクの面子が揃っている。 まさに管理局のエース部隊であり、看板ともいえるであろう。

 というのは、建前であり実態は180°違うものだ。

 まず機動六課の立ち位置というのは一言でいえば“萌え担当”である。 世界というのは驚くほど広く、その広さの分だけ犯罪は絶えない。 そうするとどうだろう? お偉い人たちは毎日毎日眉間に|皺《しわ》を寄せ、空気は悪くなるばかり、局員も人員不足によって疲労困憊のブラック企業並みの勤務時間。

 あげくのはてには管理局員の身でありながら違法行為に走ろうとするバカも出てくる。

 だがしかし──そんな管理局にも楽しみというものがある。 それが六課の部隊長である八神はやてが週一で発行する六課の新聞

『乙女の秘密を覗いてみよう♪』

 である。 何故週一かというと、単純にはやてが面倒なだけである。 ちなみに六課の人達は知らない。 理由は簡単、怒られるからである。 ふざけている? そう思う者もいるかもしれないが、これを取り入れたことによって管理局の中も大きく変わった。 まず肥えただけのデブのお偉いさんの顔が優しくなっていったのだ。 そしてダイエットするようになった。 後者はどうでもいいので前者のことだけ述べると、激務の最中、ちょっとうたた寝してしまったせいで書類が終わってない管理局員Aさんは叱られるの覚悟でお偉いさんの所へと向かう。

 するといつもは怒鳴ってばかりのお偉いさんが菩薩のような笑みで失態を許し、あろうことかAさんの仕事すらも引き受けたのだ。 お偉いさんの心境としては娘が頑張っているのだから、自分もがんばろうとかそんな感じだろう。

 それだけではない。 絶体絶命でいまにも瀕死の局員が新聞読みたさに生還してきた、なんて事例もある。

 それに伴い犯罪者逮捕率はうなぎ上りだ。

 さあ、ここで問題になってくるのが当事者というか被害者になっている六課の面々なのだが、管理局員の全員が暗黙の了解・約定としてこう血判してある。

『イエス六課・ノータッチ』

 たまたま出会ったときには話してもよい。 しかしながらその体に触れた瞬間、社会的抹殺と身体的抹殺の二つがまっているということだ。 そして驚くことに全員がこれに納得している。

 本当に管理局は大丈夫なのだろうか?



           ☆



「だ〜か〜ら〜、俺たちははやてから了承貰ってるんだってば! このすっとこどっこい!」

「そうだね、私たちは正式な客人として招待されている身だよ。 君は門番程度の権力でたてつこうというのかね?」

「いや、ですから……そのお面を外していただかないかぎりにどうにも中へ入れることができないわけでありまして……」

 目の前で繰り広げられている光景を見ながらウーノは溜息を|吐《つ》いた。

 正直なところ、この門番の言っていることは正しいと思う。

 上半身裸でニップレスをつけた状態の男と白衣を着て頭に紙袋を被った男を六課の敷地に通すのはとても危険すぎるだろう。

「なんでだよ! ズボンだって履いてるだろ!」

 その調子で服も着てくれるとありがたいのですが……

「いや、それはわかっているのですが……ここはあの有名な六課ですので次元犯罪者が来る可能性も……」

「何を言っているんだね、君は。 わざわざ管理局に突っこんでいくバカな次元犯罪者がどこにいるのかね?」

 ドクター鏡みてください。

 ワーワーギャーギャーと騒ぎ立てる二人を横目にウーノは携帯を取り出す。

「あ、なのはちゃんですか? いま六課の前にいるんですが──」

「えっ!? 俊くん六課に来てるのっ!?」

 ウーノから電話をもらったなのはは思わず普段は口にしない幼馴染の名前を口にだした。

「なのはちゃんがあのバカの名前言うなんて……よっぽどのことやで……」

 長年一緒にいるはやては冷静にそう認識する。 普段は名前すら言わないのだから。

 そんなはやてをよそに慌てた様子でなのはは部屋を動きながら早口で電話の相手と話す。

「え〜……ちょっと本当に困るってば……」

『すいません……私が提案したばっかりに』

「えっ!? いえいえ、ウーノさんなら大歓迎なんですけど……あのバカだと何やらかすかわかったものじゃなくて……」

 なのはは、う〜ん、と唇をとがらせて考える。

「ちなみにいまなにしてますか?」

 まあ、六課の警備は厳重だからおとなしく待っているとおもうけど……

『警備員殴って侵入したところです』

「本物のバカがいたっ!?」

 なのはの叫び声と同時にけたたましく警報が鳴り響く

「え? え? なになに、どうしたの?」

「いやいやフェイトさん、呑気に紅茶飲んでる場合じゃあないですってばっ! 誰かが六課に侵入してきたんですって!」

 クッキーを食べつつのんびり紅茶を飲んでいたフェイトにスバルが叫びながら答えるのだが──

「う〜ん……なのはが指鳴らしてるから大体侵入してきた人はわかるかな。 まあ、のんびりと紅茶でも飲みながらみてるといいよ。 私となのはがお世話している相手がくると思うから。 ……それより、なのはと私に会いたいって人遅いね。 一刻も早く断りたいのに」

 そのはやてが言った男性が警備員を殴って侵入してきたバカだと知ったらフェイトはどうするのだろうか。

「は、はあ……お世話ですか?」

「うん、お世話かな」

 納得したような納得してないような表情で頷くスバル

 その時、やけに慌てたような声と足音。 その後ろから何かを叫ぶふたり分の声が届いてきた。

 なのはに視線を移すと、右ストレートを打ち込むために極限まで腰をひねっていた。

 バタンッ!!

「みんな、大変だッ!! 侵入者が出たみたいだぞ!!」

「アンタだよッ!!」

「ぶへぁッ!?」

『スカさーーーーーーーーーーーーーんッ!?』

「……え? スカさん?」

 ドアを開けた瞬間、なのはは顔面に向かって打ち込んだ。 それを食らった男性はわけのわからない声を出して部屋から消えたのだが、自分の予想した相手と違ったので、おそるおそる自分が殴った相手を確認することに。

「スカさんっ! 大丈夫か、誰にやられたんだっ!?」

「ドクターっ! しっかりしてください!」

 みると泡を吹いて倒れている男性に必死に呼びかけている幼馴染。 泣き目でゆすっている友人。 幼馴染が自分の存在に気付いたのか、こちらをみていた。

「い、いらっしゃい。 機動六課にようこそ♪」

「気をつけろーーー! コイキングがギャラドスに進化したぞおおおおおおおおおお!!」

「ち、違うもんっ! 不可抗力だもんっ!!」

 片足を上げウインクしながら指をピンっと立てて可愛らしく言ったなのはに対して、ひょっとこはスカリエッティを抱きしめながら大声で叫ぶのであった。




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