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17.キレるはやてにご用心



 なんでもシャマル先生から聞いたところこれが六課初の出動みたいだ。 まあ、管理局の萌え担当だしふつうは出動とかないよな。

 ほんでもっていま俺とスカさんの目の前で繰り広げられている光景はなのはから新人達に贈るデバイス贈呈みたいなもんだね。 このデバイスたちがこいつらの相棒になるわけだ。

「はい、これでみんなデバイスは渡ったね。 これからはそれが相棒になるからみんな大事にしてね!」

『はーい!』

 ……なんだろう、この幼稚園に訪れたような感覚は。

 とりあえずみんなデバイスをもらってはしゃいでいるので、俺もなのはに近づいてデバイスをもらうことに。

「ねぇねぇ、なのは。 俺のデバイスはないの?」

「丁度いいのがあるよ。 はい」

 つ綿棒

「これでア○ル開発しろっていうのかよ!」

「まったく違うよっ!? どうして皮肉がつうじないのっ!?」

「フェイト! 優しくお願い!」

「きゃあああああああああああっ! こっちこないでええええええええええええええええええええっ!?」

 ムーンウォークでフェイトに迫る俺。 全力で逃げるフェイト。 またしても求愛行動は失敗してしまった。

「おーい、そろそろ行くぞー」

 部屋の入口でロヴィータがみんなを呼ぶ。 ロリのくせにだいぶ偉そうだな。 一発ガツンと言いたいところだがこちらが一発ガツンとアイゼンで打たれるのでやめておこう。

 ぞろぞろとなのはの後ろを歩く新人たち。 そんなカルガモ行進をみながら六課に喧嘩を売った犯罪者がどんな人物なのかワクワクするのであった。



           ☆



 犯罪者は使われていないビルに閉じこもっていた。 窓ガラスはところどころひび割れており、扉は錆ついてて閉められそうにない。 そんなビルの3階で犯罪者は叫んでいた。

『かかってこーい、六課のババア! へーい、六課はビビってる、ヘイヘイヘイ!!』

「……あいつ頭トチ狂ってるんじゃねえの?」

「うん、普段の俊くんを見てるようだよ」

 正直、俺がコイツと同レベルとか納得いかない。 俺のほうがギリギリ下回ってるだろ。

「それにしてもフェイトちゃん。 俊くん抱いてて大丈夫? 重くない? わたしが持とうか?」

「うん、大丈夫だよ」

 なのはが俺を抱いたまま空中制止してくれてるフェイトに声をかける。 フェイトはそれに笑顔で答える。

「ごめんなー、フェイト。 どうしても近くて見たかったんだよ」

 俺はこんな時じゃないとこいつらの活躍とか仕事ぶりとか見ることできないしさ。 フェイトもそれがわかってくれてるのか笑顔で首を横に振った。

「ううん、きにしなくていいよ。 けど、あんまり無茶はダメだよ? バリアジャケット着てないんだし」

「ユニクロのジャケットなら貸してもらったんだけど、それじゃダメなの?」

「いや、根本的に間違ってるから。 ジャケットならなんでもいいわけじゃないから」

「というか、9歳の頃から俊くんジャケットがつけばなんでもいいと思ってるよね。 ほんと成長しないよね」

「お前の胸もな」

「フェイトちゃん、落としていいよ」

 謝るんで本気で離そうとするの止めてください。

「それよりさ……はやてどうにかしろよ」

 右に視線を移すと、歯ぎしりと憎悪と怒りで暗黒化してるはやてがいた。 いや……まあキレるのはわかるんだけどな? 下手したらこいつ犯罪者殺しかねんぞ。

 せっかく、非殺傷という素敵なものがあるんだし部隊長が殺しなんてしたら目もあてられん。

「あ〜……ちょっと危ないね」

「危ないにもほどがあるぞ。幼馴染から人殺しが出るなんて御免なんでどうにかしたほうがよくね?」

「たしかに、ちょっとかけあってくるね」

 なのははそのまま水平移動してはやての近くまで行く。 あー……はやて言語失ってるわ。 とりあえずちょっと時間がかかりそうなんでフェイトとおしゃべりすることに。 新人たちとスカさんたちはヘリの中で見学。

 デバイス渡した意味なくない?

「ところでフェイトタソ。 エリオとキャロは元気にしてるかな? せっかく会えたのに話しをしてないけど」

「うん、大丈夫だよ。 エリオもキャロも素直でいい子だし、結構会えるの楽しみしてたみたい」

「え? まじで? それじゃ婚姻前の挨拶に行こうぜ」

「“それじゃ”の使い方が絶対あってないよねっ!?」

 リアクションとるたびにフェイトタソのおっぱいが当たって俺のザンバーがフルドライブしそうだ。

「おまたせ〜、はやてちゃんと交渉してきたよ。 わたしが代理で執行することになった」

「犯罪者―――――! いますぐ逃げろおおおおおおおおおおおおお! はかいこうせんがとんでくるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「ちょっ!? やめてよっ! ギャラドスじゃないっていってるでしょ!?」

 いや、お前は危険すぎるだろ。

「ほら、犯罪者なんか命乞いしだしたぞ」

「ちょっとーーーー!? なんでわたしが執行になった途端土下座してるのーーーーっ!?」

「……人間は賢い生き物だからな」

「納得いかないよぉっ!」

 もう! なんでわたしだけいつもからかわれるのかな。 だいたい女の子に向かってギャラドスとかおかしくないっ!? わたしまだ19歳だし、あんなに怖い顔してないんだけどっ!

 なのはは一人犯罪者と対峙しながら幼馴染に憤慨していた。 後ろからはフェイトとひょっとこの能天気な会話が聞こえてくる。

 だいたいなによ、ちょっとフェイトちゃんのアレが大きいからってフェイトちゃんに抱っこされちゃって。 ニヤニヤしちゃって。 そんなにわたしは嫌なんですかー! すいませんねー、大きくなくてー! って話だよね。

 それはアレだよ? フェイトちゃんよりか大きくないけどはやてちゃんよりかはあるもん。 絶対平均だと思うもん。 いや……はやてちゃんって身長の割には大きいんだよね……。 普通にわたしより大きいし、でも認めない! それになにかにつけてわたしのこと苛めてきてさ、ほんっと小さい頃から変わってないんだから!

 3歳の頃からずっと一緒なんだよ? もっとこう……わたしに頼ってくるものじゃないの? 無職なんだよ? 普通わたしのことを頼ってさ、こう……『お願い、なのは! お前しか俺にはいないんだ!』 みたいな感じじゃないの?

 釈然としない想いがなのはの中でふつふつと沸いてくる。

高町なのはという女性は俊がはじめて女の子と遊んだ相手である。 そしてそれからもずっと付き合いが続いている関係だ。 だからこそ知っている。 世界で一番彼のことを知っているなのはだから知っている。 彼の泣き顔も怒り顔も笑い顔も膨れっ面も死のうと思っていたときの顔も絶望の中にいた顔も──全部知っている。

 だからこそ、俊は自分を一番に頼ってくると思ったのだが──蓋を開けてみればそうでもなかった。 それは幼馴染として嬉しいことであるのだが……どうにも面白くなかった。

 あー、止め止め。 あんなデリカシーのない相手のことなんて考えても無駄だよね。 さっさと終わらせてシャワー浴びよ。

 なのはは気付いていなかった。 溜息をついている隙に犯罪者が泣きながら聖母に祈りながら魔力弾を撃ったことに。

「避けろ!! ナッパ!」

「へっ? うわぁっ!?」

 後ろからの声で現実に戻ったなのはは目の前の魔力弾を慌てて避ける。 これでもエースオブエースだ。 これくらい造作もないことだ。

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!! ←ひょっとこ全弾命中

『アンタが当たるんかーーーーーっ!?』

「………………わ、私は悪くないよ?」

 遠巻きに見ていた新人たちの突っこみと、後ろを振り向いて冷や汗を流すなのは。

 やがて煙が晴れ、顔を下に向けているひょっとこと困惑したまま抱きかかえているフェイトが姿を現した。

 ひょっとこは何もいわずフェイトの肩を叩き、シャマルがいる地点を指さす。

 シャマルの所に降ろすフェイト。 シャマルは既に治療の準備をしていた。

『え? 本当は恰好よく避けて、ベ○ータみたいになのはに言うつもりだった? けど、フェイトと喋ってたらタイミングを逃して当たった? そう……それは大変だったわね。 予想以上に痛かったの? ユニクロ訴える? うん、確実に負けるからそれはやめましょうか』

 どうやら本当に痛かったようでその後もシャマルが通訳のような形で会話をすることに。

『そもそもなのはが避けるとは思わなかった? へっぽこの癖に?』

「……わたしも魔力弾当てちゃおっかな〜……」

 小さくつぶやくなのはに聞こえないはずのひょっとこが小刻みに肩を震わせる。

 それが少しだけ面白くて、なのははひょっとこに聞こえるようにしゃべりだした。

 エースオブエース 高町なのは。 犯罪者すっぽかして幼馴染に日頃の恨みを晴らすことに専念する。 これが本当にエースオブエースで大丈夫なのだろうか?

 一方犯罪者は──

「誰かババアか言ってみいや! おぉ? はよ、いってみい! 言った瞬間わたしがその唇引き裂いてミンチにしてぼっこぼっこにしたるで!!」

 キレたはやてにフルボッコにされていた。




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