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38.ラブホテル・性王教会



 はやえもんからバイト紹介の電話がついにきた。 流石はやえもん、頼んで5日目にはもうみつけてくれたみたいだ。 やはりもつべきものは友達だな。

 だが、ここでひとつだけ問題ができてきた。 端的にいうのであれば、はやえもんが紹介してくれたバイトの名前がありえないほどに、100%の確率で、18歳未満禁止の場所であった。

 むしろ俺は何故、どうして、どのようにして、はやえもんがここの場所に接点をもち、ここの場所を用意したのか気になるところであった。 もしも、それ相応の理由があるとするのならば俺ははやえもんを更生させなければならない。

 一度深呼吸して、携帯に届いたメールをみる。

「……」

 うん、やはり何度読んでも──

『バイト場所決まったで。 性王教会や』

 ラブホテルじゃねえか。



           ☆



 ミッドの道をバイクで飛ばす。 性王教会の場所はミッドの北部にあるらしく、歩いていくにはちょっと遠い場所である。 ちなみに今回は俺一人。

 流石にヴィヴィオをラブホテルなんかには連れていけないし、そもそも俺がそんなところでバイトなんかできるはずもなく(なのはとフェイトの二人が怖い)はやえもんには悪いのだが、今回のバイト紹介は断るろうと思い、バイクを飛ばしているところである。 いやはやしかし……はやえもんのことも気になるのでやはりどうしたものか……。

 そんなことを思いながら飛ばしていくと、なんとも緑溢れる自然のいい場所についた。 もしや、性王教会は野外プレイが一番人気なのかもしれない。

「……いや、でも……これ……ラブホテルっぽくはないよな……」

 目の前には普通に教会が建ってあった。 もしやこれもカモフラージュの偽造工作なのか? ミッドの変態たちはどこまでエロに正直なんだ。 だが、ここまで教会っぽいと──

「あ、あなたが騎士はやての紹介できたひょっとこさんですね。 はじめまして、私はシャッハ・ヌエラと申します」

「マッパ・ヌーブラとは流石ラブホテルですね。 もうなんか、エロトークが当たり前ですよ、って感じですね」

 マッパさんが青筋を立てて笑顔を浮かべている。 もしや、この人はただの受付嬢だったのか? いや、普通に考えて受付嬢だよな。 いかんいかん、謝らなければ。

「すいません、マッパ・ヌーブラさん。 まだマッパにもなっていないのに……挨拶なんかしちゃって……」

「どんな謝り方なんですかっ!? 私はシャッハです! マッパではありません!」

「え? でも、ここってラブホテルじゃ……?」

「……は?」

 どうやら、俺とこの人ではかなりのズレが生じているらしい。

「いや、だって、はやてから“性王教会”だと教えられたんですが……」

「ええ、此処は“聖王教会”ですよ? 騎士はやてからも、あなたが来ることを聞いております」

 うん、だよね。 やっぱり、性王教会だよな。

「ちなみに、はやえもんいます?」

「騎士はやてですか? えぇ、あなたを待っていますよ」

「部屋の番号を教えてください」

「え?」

「え?」

 俺の言葉にマッパさん改めシャッハさんが困惑したような顔を浮かべる。 正直、困惑しているのはこっちも同じだった。

 友人である八神はやてがこんなラブホテルの人達とも知り合いで、あげくの果てには部屋で俺のことを待っているだなんて。 いや、後半にかけては最高なんですけど。 ほら、なのはとフェイトが怒るかもしれないじゃん。 というか、確実に追い出されるんだよね。

「まぁ、とりあえず二人が待つ部屋へといきましょうか」

 マッパさんが俺の手を引いて、性王教会へと入っていく。

 いきなり3○とは……。 俺のカルピスが枯れなきゃいいけど。



           ☆



「騙しやがったな!? レズ女!?」

「いや、レズやないし。 騙してもないし。 ちゃんと聖王教会って送ったやろ」

 マッパさんと廊下を歩き、たどり着いた先は他の部屋の扉よりも一層綺麗な扉であった。 こんなところではやてが待ってるのか〜。 などなど思いながら、男として女を悲しませちゃいけないという義務もあり、ズボンをおろした状態で扉を開くと──なんか見知らぬ人とはやてが普通に楽しく談笑していた。

 裸とかじゃなくて私服で。 テーブルには紅茶をクッキーを置きながら。 なんかエロイ雰囲気なんて微塵もない状態であった。

 そんな中、はやえもんは見知らぬ女性よりも一足先に俺に気付き

「なにしてんの?」

 そう冷ややかな目で聞いてきた。

「いや……あの……ここ、アレだろ? バイト先なんだろ? 性王教会なんだよな?」

「そうやで、此処があんたのバイト先の聖王教会や」

「なんか教会っぽいよな。 ベットもないし」

「は? だって、教会やで? それに此処にベットとか意味わからんやろ」

 普通に考えればそうなんだけど、なんせ此処はラブホテル。 そのラブホテルという枠組みからとらえればこの様子のほうがおかしい光景ではないのだろうか?

 はやえもんとテーブルを挟んで座っている金髪の女性に目をやる。

 なんだかおっとりとしていてthe・お姉さんという感じである。 まさに教会で賛美歌なんか歌っていそうだ。 ただまあ、こんな人でもラブホテルにいるのだから世の中とはなかなかどうして……わからないものである。 (こんなでたらめな嘘を並べている俺が言えた義理じゃないけれど。)

「……はやえもん、一つ聞いてもいい?」

 そろそろ、なんとなくだけど、此処がもしかしたらラブホテルじゃないということ懸念がでてきた。 ので、早速頼れる女、はやえもんに聞くことに。

「此処、ラブホテルじゃないの?」

 そして、あのセリフへとつながるのであーる。



           ☆



「ごめんな〜。 なんかわたしとコレとでちょ〜っとした手違いがあったみたいや」

「いえ……それはいいのですが……あの人、大丈夫なんですか?」

「まぁ、頭は大丈夫やないけど。 そこそこ使えると思うで」

 正座しながら二人の話を聞く。 はやえもんの話によると、性王教会の誤字は単なる打ち間違いらしい。 お前はそもそも日常生活でそんなにメールに性を打つのか。 と聞きたくはなるのだが……まぁ、あいつのことだから日常生活で使っているのだろう。 主にヴォルケンに向かって。

「え〜っと、ひょっとこさんですね。 はやてから話は聞いているのですが、なんでも幼馴染にプレゼントを渡したい……とのことですが」

「ええそうなんですよ。 なのはとフェイトとって言うんですけど、これがもうめちゃくちゃ可愛くて、なのはなんて鯉の中の鯉なんですよ。 いわゆる鯉の王様なんですよ。 いや、最近進化したので竜になりましたね。 それにフェイトなんですが、これがまた可愛くって、もうなんというか嫁にしたい女性No.1に輝くと個人的に思ってますよ」

「それで、此処にバイトにきたんですね?」

「はい。 けど、すっかりラブホテルと思ってまして……その、本当は断るつもりで来たんですよ」

「あははっ……。 ら、ラブホテル……ですか」

 女性が冷や汗を流しながら笑う。 まぁ、たしかにちゃんとした教会がラブホテルなんて思われてたらたまったもんじゃないよな。 そんなたまったもんじゃないことを、いま俺はさらりとぶちまけたわけだけど。

「え〜っと……それじゃ、どうします? はやての紹介ですから、私達のほうはあなたを受け入れる体制はできているのですが」

 なんともまぁ、これはありがたい。 ラブホテルなんて誤解していた男を受け入れてくれるなんて。

 だがここで俺はある問題に直面した。

 ヴィヴィオ……どうしようか。

 いや、誰かに預けるって選択もないことはないが……う〜ん。 なによりヴィヴィオの姿をみれないのことが俺の心に多大なダメージを与えるわけだし。

「すいません。 ちょっとしたお願いがあるのですが……」

 そろりそろり……といった感じで手をあげる。 いやはや、どういえばいいものか。

「はい? なんですか?」

 女性は優しい笑みで、教師の真似事のように指をさしてくる。

「えっと──バイトに娘を同伴させてもよろしいでしょうか?」

 女性の笑みが消えた瞬間であった。




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