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55.S+のディフェンス



「いい? キミとヴィヴィオは親子の関係なんだから、そこらへんをちゃんと弁えないとダメだよ?」

「ちょっとまってくれ。 なんで俺がヴィヴィオに手を出すこと前提でお前らは話を進めているんだ」

「……ださないの……?」

「出さないよ!? 何年幼馴染やってきてんだよ!? それくらいわかるだろ!?」

「……ごめん、あと数年は一緒にいないとキミのことはわからないと思うんだ」

 そんなことを言いながら、本当に首をヒネるなのは。 お前本当に俺の幼馴染か?

 現在俺はなのはとフェイトの二人を目の前にして、床に正座の体勢で座っていた。 う〜ん……先程までリンディさん宅で正座していたというのに、まさか自分の家でも正座することになるとは。

 正座してもメリットがないんだよなぁ。 これで二人のパンツでも見れるもんなら正座というか、土下座するんだけど。

「パンツみせてください」

「いきなり土下座して何言いだすの!? なにがあったの!? いまの数秒の思考の間にキミになにがあったの!?」

「いいじゃん、減るもんじゃないし。 さっさと見せろよ。 スターさん」

「そのネタ引っ張るの止めてくれません!?」

「じゃあブレイカーさん」

「どっちも嫌だから!」

「ブレイカーさん、ブレイカー落ちてますよ?」

「つまらん、3点!」

 意外に辛口評価だった。 なのはちゃんなら笑ってくれると思ってたのに。

 腕組みしながら、なのはがこちらを上から見下ろす形で喋る。

「というか、ブレイカー、いや、ブレイクならキミの専売特許でしょ? 法則壊しの道化師<ブレイク・クラウン>さん?」

「やめろ!!? 俺の中二病時代を例に出すな!?」

「いや〜、中学時代に散々やらかしたおかげで、高校時代も抜けなかったよね、この名前。 ねぇ、クラウンさん?」

 なのはがニヤニヤと笑みを浮かべながら、俺のほうに前かがみになりながら、実に楽しそうにその名を呼ぶ。

「ねぇ、クラウンさん? いや、ブレイク・クラウンさん? よく言ってたあの口上、なのはもう一度聞きたいな〜……」

 弄るように、俺の顎をとり、さするなのは。 クッと顎を上げさせられると、そこにはSっ気全開のなのはの顔があった。 恍惚とした表情で、目をトロンとさせながら、何が楽しいのか、クスクスと笑いながら。

「……ごめんなさい……もういいません。 ブレイカーさんとか……スターさんとか言わないから……許してください……お願いします……」

「 ダ メ 」

 この教導官鬼すぎ。

 思わず顔から火が出る寸前、なのはが俺から離れる。

「まったく……これに懲りたら“ブレイカーさん”とか、“スターさん”とか言わないこと。 言ったら六課の皆にバラすらね。 社会的に追い込むからね」

「俺生活できないじゃん」

「わたしがいるからいいでしょ」

 ……たしかに、なのはとフェイトとヴィヴィオいるからいっか。

 いや、でもまぁ……スバルあたりにバレるのは嫌だから言わないけどさ。

「そうだな、なのはとフェイトとヴィヴィオいればそれでいいや」

「……そうだね、三人いれば大丈夫だね」

「あの……怒ってる? 不機嫌になってない?」

「怒ってません。 不機嫌でもありません」

 そう思ってるのなら、トゥキックで俺のミゾ蹴るのやめてくれません? たまに息止まるんですけど。

 赤髪ツーテールの死神巨乳船頭の顔がちらつくんですけど。

 しかしながら、何故こんなにも話が逸れてしまったんだろうか。 フェイトとヴィヴィオはなんか我関せずみたいな感じでシカトしてるし。 ヴィヴィオ、パパがママによって虐待されてるんだぞ?

 助けてくれよ。 パパ、マジで無力だから。

「 と に か く キミとヴィヴィオはあくまで親子! それを肝に銘じておいてね? じゃないと……から……」

「おいちょっとまて。 お前いま小さな声で、皮剥ぐって言わなかったか? 言ったよな? 皮剥ぐって言ったよな? お前が一番怖いよ。 人体に浸食して内部構造を破壊するウイルスよりもお前が怖いよ。 お前知らないぞ! 管理局で『皮剥ぎのなのは』って呼ばれても知らないからな!」

「呼ばれるかぁ!!」



           ☆



 就寝の時間です。 今日はリンディさん宅と家でのドタドタがあって正直くたくた。 このままゲームもマンガもオナニーもせずにベットにダイブです。

 歯を磨き、自分の部屋に行こうと階段を上る寸前──後ろからドンと誰かが体当たりしてきた。 力はまったく強くなく、軽くよろめく程度。 後ろを振り返ると、ニコニコと笑みを浮かべたまま、ペットのアヒルと一緒に俺をみていた。

「えへへ……パパ、いっしょにねよ?」

 これはなんとも難しい難題である。 かなり難しい難題である。 難題なのにさらに難しい。 ついさっき、なのはに釘を刺されてしまった俺としてはここで断るほうがいいんだけど……ぶっちゃけ、ヴィヴィオと寝るのもいいかもな〜。 なんてことを考えていた身としては、断りたくない。

「え〜っと……ヴィヴィオ? 俺がママ達に何か言われたら、助け舟出してね?」

「うん! いいよ!」

 大きく力いっぱい首を縦に振るヴィヴィオ。 流石天使。 力が沸いてくる。

「それじゃ、俺の部屋に行くか。 ガーくんも」

 ヴィヴィオをだっこして、俺は自分の部屋に向かうのであった。

 はたして、俺の部屋の前には変な二人組の19歳(♀)が肩と肩を組みながら俺とヴィヴィオを見るなり、左右に揺り動きながら

「「ディーフェンス! ディーフェンス! 圧勝ディーフェンス!」」

 と、およそファンには見せられないようなことをしていた。 ぶっちゃけ完全に不審者です。 あと近所迷惑です。

「……お前ら、なにしてんの……?」

 左右に揺れ動きながらなのはが答える。

「キミがヴィヴィオと部屋に入れないようにしてるの。 早速約束破ったね!」

「とりあえず左右に揺れ動くの止めろ。 その息の合った一定のスピード止めて」

 ほんと仲いいな、お前ら。

「というか、明日も仕事だろ。 バカなことやってないで、さっさと寝たほうがいいんじゃね? 明日俺が起こすハメになるぞ?」

 びっくりするほどユートピアしてからお前ら叩き起こすぞ。

「いいじゃん、キミが起こしてくれるなら。 それより! キミの隣にいるヴィヴィオはどういうことかな? 言ったよね? キミとヴィヴィオは親子の関係だって」

「? 親子で一緒に寝ることっておかしいか?」

「へっ? い、いや……べ、べつにおかしくはないけど……。 ヴィヴィオが一緒に寝るのは……その……羨ましいというか……」

「ん? なのはとフェイトだっていつも一緒に寝てるじゃん?」

「……はぁ……」

「え!? なんで溜息!?」

 何故かバカにされたような気がする。 間違ったことはいってないはずなのに。

「で、でもでも! 俊くんの部屋はダメだよ! 5歳の子には見せられないものばかりあるよ!」

「人の部屋をアダルトショップみたいにいうな! 5割ほどしかねえよ!」

「充分危ないよね!? それもう十分だよね!? ますますヴィヴィオを部屋に入れることができないよ!」

「だったら俺がなのはとフェイトの部屋にいくわ。 そこなら安心だし安全だろ?」

「「へっ?」」

 うん、俺にしてはいいアイディアだな。 ヴィヴィオも普段から寝てる場所だし、ガーくんも一緒だし安心安眠できるだろう。

「と、いうわけだから。 二人は俺の部屋で寝てていいよ〜」

 さっそく二人の部屋に足を向ける。

「それこそだめ!! 絶対ダメ!」

「そ、そうだよ俊! 私達の部屋はダメだよ!」

「え〜……。 普段掃除してる場所だからとくになにもしないってば。 ……なのはとフェイトが使っている枕……なのはとフェイトが使っているシーツ……なのはとフェイトの全体重を支えている至高のベット……なのはとフェイトの匂いで満ちた室内……なのはとフェイトに抱かれたことがあるヌイグルミの数々……なのはとフェイトが歩いたフローリング……なのはとフェイトを毎日映す鏡……なのはとフェイトの小物の数々……はぁはぁ……はぁはぁ……だ、大丈夫……何もしないから!」

「「嘘つけ!? 絶対なにかする気でしょ!?」」

「な、なにもしないってば!? 本当だって、信じてくれよ!?」

「いまのセリフ聞いて信じれたらそれは完全に洗脳されてるから!? 間違ってもキミのこのセリフにかんしては信じることができません!!」

「なのはの言うとおり、できないよ!!」

「できないおー」

 なのはとフェイトに断言された。 そして味方だと思っていたヴィヴィオが何故か敵になっていた。 後ろから刺されるとはこのことか。 

 もう八方塞である。

 はてさて、どうしたものか。 そう思っていると、ヴィヴィオが俺の手となのはとフェイトの手を握りしめていた。 丁度、ヴィヴィオを軸にしてる感じで。

「一緒にねよ〜?」

「「「は?」」」

「えへへ、みんなでいっしょにねよ〜?」

「「うぐッ……!?」」

 何故かなのはとフェイトが精神攻撃を受けている。 ……そんなに俺と一緒に寝るのが嫌なのか……?

 アセアセといきなり挙動不審になる二人。

「ヴィヴィオ、それはちょっとできないというか……。 ほ、ほら! なのはママとフェイトママとパパとでは生活習慣が違うから、ね!?」

「う、うん! 俊と一緒に寝るのはダメだよ! その……ヴィヴィオと一緒だと色々と……、ね!?」

「え!? なんでこっちに話しを振るの!?」

 二人のキャッチボールを見ながら、俺はヴィヴィオをだっこする。 丁度、部屋の前には二人はいなくなったのだ。 というか、二人とも自分たちの世界に入ってしまったので俺とヴィヴィオのことをみていない。

「はぁ……ここまで明確に断れると……色々と心にくるなぁ……。 いっそのこと、二人の生活習慣に強引にでもかえようかな。 でも、それをすると家事とかできなくなるんだよな。 遊ぶ時間だってなくなるし」

「パパー、ないてるのー?」

「うんうん。 パパは泣いてるんだよ」

「よしよし。 いいこいいこ」

 俺の頭を撫でながら、そんなことを言ってくれるヴィヴィオ。 ほんと……お前だけは俺の味方だよな。 いまさっき盛大に攻撃してくれたけど。

 ヴィヴィオを抱いたままベットにはいる。

 ベットにはいるなり、ヴィヴィオが俺の手を握ってきた。

「えへへ……パパをひとりじめー」

 なんという策士。 ヴィヴィオ、お前才能あるよ。 そんなヴィヴィオを撫でながら、俺は娘とガーくんが寝るまで起きているのであった。




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