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2部分:02.お守り



そういう意味じゃないから、勘違いしないでよね
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チュンチュンチュンチュン、とスズメ達が声を出し、人里のほうでは朝の市が始まっているこの時間、一人影を落としている少年がいた。

少年の名前は不知火彼方。外から幻想郷に迷い込んできた少年だ。

「なぁ、霊夢」

彼方は縁側で座りながらなにか作業をしている霊夢に声をかける。

「ん?、なに?」

声をかけられた霊夢は彼方のほうを振り向こうともせず、返事だけ答える

「確かに……住まわせてもらう俺としては、雑用はなんでも引き受けようと思ったんだけどさ……。流石に、家のこと全部ってのはないんじゃないか・・?」

洗濯から始まり、室内の掃除そして庭の掃除

彼方が先程までやっていたものは室内の掃除で、いまは場所を変えて庭の掃除をするため竹箒を持っている

「全部ってことはないでしょ?食事は私が作ってるんだから」

しかし彼方のよわよわしい抗議は霊夢のこの言葉で、ばっさりと切られた。

住まわせて貰っている上に食事まで作ってくれている霊夢に彼方が文句を言えるはずもなく、ただただ肩を落とすばかりである。

「はぁ……」

ため息を吐いたところで落ち葉がなくなるはずもないので、気持ちを入れ替えてさっさと終わらせることに専念しよう。

そう思った矢先、目の前の集めていた落ち葉が空中を舞った

「ふ?。霊夢?遊びに来たぞ?」

「あら、魔理沙」

金髪の髪に西洋の魔女を思わせる衣服。頭にはとんがり帽子で、右手には箒を抱えている。年の頃は霊夢と同年代くらいだろう。

魔理沙と呼ばれたその少女は、自分が箒で着地したさいに彼方が集めていた落ち葉を散らかしたことなど知らないかのようにそのまま霊夢の隣に座る。

「って、ちょっとまてよ!?」

勢いよく魔理沙に掴みかかりにくる彼方。

「お前どうしてくれんだよ!この落ち葉!せっかく集めてたのに!?」

きょとんとした顔で彼方を見る魔理沙。そんな魔理沙に一瞬、自分が悪いのかなと思った彼方だったがそんな訳がないと思いなおして魔理沙に詰め寄る

そんな彼方に魔理沙は、穢れを知らない少年のような純粋な笑みを浮かべて悪びれもせずに

「いや?、悪かった。わたしもよ、もう少し奥で着地する予定だったんだよ。ほんとだぜ?」

はっはっは、と笑う魔理沙に彼方はげんなりとして直感的に悟った。

この子を相手に俺は役不足だ、と。

彼方が黙った隙を見て魔理沙は隣にいる霊夢に話しかける

「とこれで霊夢。こいつだれ?見かけない顔だけど」

「外からの人よ。昨日たまたま助けたの」

ジロジロと彼方をみる魔理沙。

そんな魔理沙の視線に思わず彼方は後ずさる。

頭のてっぺんから爪先まで視線を巡らせた魔理沙は、彼方の腰の付近を指さしながら尋ねた。

「なぁ、その腰のものはなんだ?」

「ん?あぁ、これか」

魔理沙が指をさしているものがなんなのか気付いた彼方は、そのブツを腰──正確にいえばホルスターの中に入れてあるハンドガンを取り出し魔理沙の手に置く

「これは?」

「外の世界の武器。まぁ、壊れて使い物にならないけど」

肩を竦めてみせる彼方になおも魔理沙は尋ねる

「ふ?ん。貰っていい?」

「却下」

魔理沙の言葉を即答で返す。第一、このハンドガンだけは何があっても譲るわけにはいかないのだ。

いまは亡き父の形見なのだから。

「へ?。でも……欲しいな」

魔理沙が呟くと同時に、魔理沙の後ろから霊夢の拳が降って来た。

「やめなさいって。まったく、ほら彼方」

ハンドガンを放り投げるように渡してくる霊夢に軽く礼を言って受け取る。

「それと……」

そう言って、自分のほうに近寄って来た霊夢はつま先立ちして彼方の首になにかをかけた

「なにこれ?」

彼方の首にかけられたのは紅白の色だけがついている神社によくあるお守りである

「見ての通り、お守りよ。低級妖怪ならこれで大丈夫だし、一発くらいだったら強力なスペルカードにも耐えられるはずよ」

そこまで言って霊夢は奥のほうに消えていく。大方、お茶の準備でもするつもりだろう

「なぁ、魔理沙。スペルカードって……なに?」

礼をいうタイミングを逃した俺は、霊夢の言葉に聞きなれない単語があったので魔理沙に質問することにした。

「あぁ、スペルカードっていうのは弾幕ごっこでの必殺技みたいなもんだよ」

「弾幕ごっこ?」

弾幕、そして必殺技という単語に心ひかれた俺は、終始魔理沙の説明に感嘆の声を上げながら聞いていた



           ☆



「霊夢って凄いんだな」

それが俺の初めの感想だった。

妖怪と人間の関係を疑似的に保ち強弱さまざま者がしこりを残さず対等に戦える「スペルカードルール」という決闘ルールを制定するなんてすごいな

改めて霊夢の凄さを再確認する。本人は素知らぬ顔で茶を啜っているけど。

「しっかし……霊夢がこんな男に興味を持つなんてな」

からかい口調で魔理沙が霊夢に話す。俺としてはこんな男呼ばわりされたことが少しショックなのだけど……。

「別に。ただの気まぐれよ。丁度、雑用が欲しかったところだし」

そんな俺の胸の内など知りもしないで二人の女の子は会話に興じる

「ふ?ん。人間にも妖怪にもさほど興味なんか持っていないのに?」

「雑用が欲しかっただけって言ってるでしょ」

魔理沙の言葉に少しイラついた霊夢がキツイ口調で言ってくる

「はいはい。そういうことにしておいてやるよ」

霊夢の言葉に肩を竦めてみせる魔理沙。なんで、あいつはこんなにこの仕草が合うんだろう・・・。

「それじゃ、わたしは紅魔館に行ってくるぜ」

こうまかん?名前からして凄そうな所だな。

「また、盗みに行くつもりなの?」

「盗みとは人聞きが悪いぜ。わたしは借りてるだけだからな。死ぬまで」

それもう盗みだろ……。

俺がそう思った時には、魔理沙は既に箒に跨り空を飛んで行った。

俺がいつまでも魔理沙の姿を追っていたら後ろから霊夢が話しかけてきた。

「出て行きたければ、出て行っていいわよ。なんなら、人里まで送ってあげるわ」

縁側でお茶を片手に霊夢が俺に聞いて来る

「いや……もう少しだけお世話になるよ」

「そう」

それで話しは終了したとばかりに霊夢は、さっさと奥へと消えていった。

「さってと……俺も掃除の続きをするか」

立て懸けておいた箒を手に取り、魔理沙によって1からスタートすることになった庭掃除を再開する。

「彼方、お茶飲む?」

しばらくして、お茶を沸かしていたのであろう霊夢がお茶を誘ってきた。

「ん、ならいただくよ」

辺りを見回すと落ち葉は既にほとんどなくなっていた。

それに満足して俺は、霊夢の元まで足を進める。

その時、紅白のお守りが右に左に足に合わせて揺れる。

「少し、短かったかしら?」

「いや、こんなもんじゃないかな」

左右に揺れるお守りをみて、俺はもう少しだけここの雑用をしてみようかなと思った。




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