A's6.熟女ははしゃぎメール打つ
「今日のスバルは絶対におかしかったよね!」
「そうかぁ?」
「絶対にそうだよ! まったく、俊くんはダメダメさんだなぁ。 女の子のちょっとしたサインを見逃さないのがいい男の条件なんだからね? あれは絶対わたしに何かを伝えようとしていたよ」
「体重が1キロ太ったという事実をいま伝えようか?」
「この頃便秘気味だから!? 魔法少女は太らないって原則があるから大丈夫だもん!」
「スカトロなのは……」
「ちょっと表出ろ」
冷酷な表情で襟首を掴むなのは。 その握力は凄まじくこっちが漏れそうになる。
「た、タンマタンマ!? 冗談だって冗談だって!?」
両手を使ってTの文字を作ると、なのはがぱっと手を離し床に女の子座りをしながら髪を弄りだす。
「う〜……なんでわたしはおっぱいに栄養がいかないんだろう……。 わたしだってフェイトちゃんみたいに……おっきかったら……」
ちらちらとこちらを見ながら、そう言ったなのは。 俺もなのはのおっぱいをガン見しながら、あっちでヴィヴィオの相手をしているフェイトのおっぱいを思い浮かべる。
『フェイトママー? かおまっかだよー? だいじょうぶー?』
『う、うん! 大丈夫だよヴィヴィオ! なんでもない、なんでもないからね!』
『あ、こらバカアヒル!? 人がヴィヴィオちゃんのために剥いたぶどうを勝手に食べるな!』
『ワ〜ン、フェイトー! リンディメッシュガイジメルー!』
『ま、まぁまぁお母さん。 アヒル相手にそんなムキにならなくても……』
『むきーっ!』
あっちはあっちで楽しそうだな。 というかリンディさんしっかり夕食のデザートまで頂いてるんだな。 ぼっち説が強くなってきたぞ! まぁそんなぼっちはどうでもいい。 それよりいまはなのはに伝えなきゃいけないことがあるんだ。
例え貧乳でも、お前の魅力は変わらないよ。 そう言わないと──
「な、なのは──」
「あら、誰がぼっちですって?」
「!? り、リンディさんいつのまに……?」
「いつから私があそこにいたと錯覚していた?」
「な、なんだと……!?」
「で、なのはちゃん泣かして何してるのよ? キモ男」
リンディさんはそのまま俺の隣に腰をおろし、目の前でしゅんとしてるなのはに目をやる。
「まだ泣かしてないですよ。 というか泣かしませんよ。 なんていうかまぁ……乙女の悩みですかね。 包茎で悩む男の乙女verです」
「大丈夫よなのはちゃん! わたしが処理の仕方を教えてあげるから!」
「へっ!? いまどんな勘違いされたの!? リンディさん何を想像したの!?」
なのはを強く抱きしめるリンディさん。 いったいどんな勘違いをしたんだこの未亡人。
あわあわするなのは。 何故か手で俺を追い払うリンディさん。 ……ここはリンディさんに従っておくか。 くそ! くそ! あと数秒早ければ……!
今回の選択が後々の大きな問題にならないことを祈りつつ、なのはにいたらないことを吹き込まないようにリンディさんに言い聞かせた後、その場を去る。 よし、ヴィヴィオと遊ぼう。
ヴィヴィオは苦笑いのフェイトの膝でガーくんと遊んでいた。 俺に気が付くと、両手をぶんぶぶんぶと振り回し、こっちにくるように合図をする。 なんて可愛い娘なんだ。
「パパー! だっこ!」
「はいはい」
フェイトの膝の上で両手を上げ、だっこをせがむヴィヴィオ。 俺は腋の下に手を入れ一気に抱き上げる。 そのままフェイトの隣に移動し、今度は俺が先程のフェイトと同様にヴィヴィオを膝の上に乗せた。 隣ではフェイトがガーくんを膝に乗せているところだった。 おいアヒル、そこ変われ。
「ごめんね俊。 お母さん、ちょっとさびしんぼみたいで……」
「んー、俺はリンディさん好きだし別にいいよ。 夕食時に『ワインないの? ねぇワインないの?』って聞くのはやめてほしいけど」
「あぅっ……。 今度から持参するように言い聞かせておくね」
「けど今日ヴィヴィオがお昼寝してるときに、留守番を申し出てくれたのは素直に助かったな。 やっぱりあの人はなんだかんだで俺達を気にかけてくれてるし」
「ふふっ、なんてったって皆9歳の頃からお母さんのお世話になってるもんね」
「けど外見まったく変わらないよな……」
「うん……。 桃子さんもそうだけど……あれは管理局SSSランク秘密ファイルに記載されてると思うんだ……」
「え? そんなのあんの!? なにそれ面白そう!」
「しまったっ!? 余計なことを口に出してしまった!?」
今度絶対にみにいこう。 スカさん連れてみにいこう。 ルパンみたいでいまからワクワクしてきた。
フェイトとそんな話題で華を咲かしていると──
「はむっ!」
「あいたっ!?」
膝で遊んでいたヴィヴィオが暇をしたのか耐えかねたのか、はたまたただしたかっただけなのか、俺の人差し指を本気噛みしてきた。
不意の痛みで思わず手を引っ込め、ヴィヴィオに目を向けると、ヴィヴィオが餅のように頬を膨らませていた。
「ヴぃ、ヴィヴィオ……?」
「パパ! ヴィヴィオさみしかったなー!」
じーっとこちらを見ながらヴィヴィオは喋る。
「ヴィヴィオおきたらパパいなくてさびしかったなー! さびしかったなー……」
一回目の寂しかったは大きく、二回目の寂しかったは小さく発したヴィヴィオは、そのまま俺の手を握り動かしだした。 とんとん、とんとんと俺の膝に当てながらこちらを上目使いで見るヴィヴィオ。
……そっか。 寂しい想いをさせちゃったのか……。
膝の上に乗せていたヴィヴィオを、後ろからそっと優しくぎゅっと強く抱きしめる。 その温もりを確かに感じながら。
「ごめんなヴィヴィオ。 寂しかったんだよな。 お昼寝して起きたとき、おれがいなくて寂しかったのか。 ごめんな、これからはずっと隣にいるから」
ごめんごめん、そう謝りつつあやすように左右に体を揺り動かす。
そうするとヴィヴィオの表情は一転、ひまわりのような笑顔を浮かべ
「うん! ごめんなさいしたからゆるしてあげる! ヴィヴィオいいこ? ヴィヴィオいいこ?」
「うん、ヴィヴィオはいい子だよー。 えらいえらい」
「えへへー」
隣にいるフェイトにいい子か聞くヴィヴィオに、フェイトは笑顔で頭を撫でながらいい子だと伝える。 ヴィヴィオはそれに嬉しそうに笑った。
「リンディさんいるから大丈夫だと思ったんだけど……失敗しちゃったなー……」
「ガーくんが六課内からいきなり消えた謎がいま解けたね」
「残像残していきなり消えたから何事かと思っていたら……。 俺よりヴィヴィオのこと想ってるのかもしれん」
俺が一番ヴィヴィオのこと想っていると自負していたのに。
「これは私も負けてられないかも。 よし、そうと決まれば! ヴィヴィオ、おいで! フェイトママがだっこしてあげる!」
「わーい!」
ヴィヴィオのほうに両手を広げたフェイト。 その胸めがけてヴィヴィオはとんでいく。 その代りなのかわからないが、俺の膝にはガーくんが綺麗にお座りしている。
ヴィヴィオがフェイトの胸をぺたぺた触ると、フェイトは顔を赤らめながらヴィヴィオを諭す。 『だめだよー?』なんていいつつヴィヴィオの鼻をちょんと押すフェイト。 俺がフェイトの胸をぺたぺた触ると、『もうえっち』なんていいつつ俺の鼻面にどすんと重い拳をいれてくる。 鮮血が舞うこの空間。 ガーくんはクイックル○イパー片手に待機していた。
「パパっ!? パパっ!?」
「もうヴィヴィオは可愛いねー。 ほらおいで。 私のぷりん『あーん』して食べさせてあげる」
「フェイトママ!? パパが、パパが!?」
「何言ってるのヴィヴィオ。 パパなんていないでしょ?」
「フェイトママっ!? フェイトママっ!?」
ヴィヴィオの俺を呼ぶ声だけが耳に深く残った。
☆
「は〜い、ヴィヴィオあ〜ん」
「あ〜ん」
カラメルをたっぷりのせた黄色のお菓子プリン、銀色のスプーンに一口大の大きさをすくってフェイトは膝にちょこんと座っているヴィヴィオの口元に運ぶ。 ヴィヴィオは可愛らしい口を最大限まで開口し、スプーンにのったプリンを迎え入れた。
ちゅるんと擬音が聞こえてきそうなほどの食べ方でプリンを口に含んだヴィヴィオは、もぐもぐと咀嚼しごっくんと呑み込んだ。
「おいしいヴィヴィオ?」
「うん! ヴィヴィオだいすき! でもでも、フェイトママのほうがもっとすき〜!」
「えへへ、ありがとうヴィヴィオ」
照れ笑いを浮かべるフェイト。
その様子をフェイトの隣で椅子に座った俊は気持ち悪いほどにガン見していた。 それはもう犯罪者のようにガン見していた。 ときたま、フェイトが俊のほうを見ないまま『顔が気持ち悪い』とのメッセージを送るがそんなことなどおかまいなしにガン見していた。
しかしながら、これには淫乱団地妻の谷間並みに深い理由があるのだ。 その理由をフェイトも共有しているからこそ、あまり強く言えないでいる。
「「……」」
その理由とは──
「「…………」」(チラっ
「ちょっ!? だから大丈夫ですから止めてくださいってば!? 下着を引っ張らないでくださいよ!?」
「大丈夫よなのはちゃん! 人生の先輩として処理の仕方を教えてあげるから!」
「処理ならちゃんとできてますから大丈夫です!」
目の前で繰り広げられる攻防に、どうすればいいのか困惑している二人であった。
「(変態じゃねぇか)」
「(まるで俊みたい……)」
なんらかの方程式が出来上がった瞬間であった。
「わたしの周りには変態しかいないの!?」
リンディをからくのところで引き離し、一目散にフェイトのほうへ駆け寄るなのは。 現在、一番の安全圏は此処しか存在しないのである。
うわ〜んと泣きつくなのはをフェイトがよしよしと頭を撫で慰める。 鼻をすするなのははフェイトをぎゅっと抱きしめた後、文句を言いだした。
「出勤すればティアにスバルの変態部下の相手だってしないといけないのに……」
フェイトは苦笑しつつ、そのままなのはを抱きしめ続ける。
「まぁまぁ、いいことも必ずあるって」
「あの二人わたしがトイレにいると、個室ノックしつつガチャガチャしてくるし……。 どれほどの回数で止まったことか……」
「まぁまぁ、……それはちょっと……」
「あの二人何故かわたしにえっちな下着見せて誘惑してくるし……」
「ガチすぎて怖い」
ちょっとしたパニックホラーである。
なのはの告白に思わず抱きしめていた手を離してしまうフェイト。
はぁ……、そう知らず知らずにため息を吐くなのははフェイトの隣にいた俊を椅子に見立てて腰を落とす。 そしてそのまま背もたれに体を預けるように、俊に体を預けた。
「な、なのは……?」
「ちらちらこっち見てたでしょ。 バレバレなの」
「いいパンチラ具合でした。 具も若干見えそう──」
_, ,_ パーン
( ‘д‘)
⊂彡☆))Д´)
「わかめが──」
_, ,_ パーン
( ‘д‘)
⊂彡☆))Д´)
「俊はちょっと黙ってて」
「……はい」
二度の高速ビンタを受けた俊に対し、フェイトは呆れ口調で言い放った。 しかしいまだになのはは俊の上に乗っかっている。
はぁ……、知らず知らずのうちにため息を吐く。
「あら、なのはちゃん悩み事? 相談にのってあげようか? 人生の先輩として」
「お母さんは黙ってて」
「( ゚д゚ )」
驚きの表情を娘に向ける母親。 しかし娘はガン無視である。
娘にキツイ一言をもらいシュンとするリンディに、俊はよしよしと頭を撫でようと手を伸ばす──が、目視できないスピードで払われた。 一瞬何が起きたか理解できずに、リンディと自分の手を交互に見やる俊。
いまだにシュンとするリンディに、今度はフェイトの膝にいたヴィヴィオが身を乗り出していいこいいこしようとする。 しかしヴィヴィオの小さな体では、リンディの頭まで手が届かない。 あぅ……そうヴィヴィオが漏らす直前にリンディは自分のほうから頭を差し出した。
いいこいいこしてもらおうと頭を差し出した─が、その直前にガーくんから後頭部を思いっきり蹴られたため、顔面がテーブルにめりこむほどの頭の下げ方を披露することとなった。
「ふざけんじゃないわよこのバカアヒルーッ!」
「ヴィヴィオガイイコイイコシテアゲヨウトシテルンダカラ、コウベヲタレロヨ」
そして始める異種格闘技戦。 軽快なフットワークを見せるアヒルに、動きを封じ必殺の一撃を放とうとする人間。
「あーっ! けんかしちゃだめー! めっ!」
そしてそれを止める5歳児。
5歳児に正座で説教をされるアヒルと大人の構図がそこにはあった。
ところかわって、なのははフェイトに相談事を持ちかけていた。 相も変わらず俊を椅子代わりにしたまま。
「スバルがなのはに隠し事?」
「うん。 それもなかなかの悩みだと思うんだ。 スバルの性格上、あまり隠し事はしないタイプの人間だし。 そんなスバルがわたしに対して隠し事をしてるってことはそれなりの問題なんじゃないかと」
「……そういえば、今日はティアもしょっちゅうなのはのほうに視線をやってた。 どうせいつも好き好き光線かと思ってたけど──」
「実はしねしねこうせんというオチだったのか」
「俊くん黙って」
「はい」
なのはに手を抓られ、椅子になることに専念する俊。
フェイトは自分の顎を擦りながら、考え込むような形で、言葉を選びながら話す。
「なのはは、どうしたいと思ってるの?」
「どうしたいって……?」
「んーっと、……、スバルのその悩みを聞いて、それからどうするの?」
「わかんない……」
ぶんぶん、頭を横にふるなのは。 その際、サイドに結ってある髪が俊の耳に直撃する。
「わかんないの?」
「うん」
「わかんないまま、聞いてどうするの?」
小首を傾げるフェイトに、なのはは、
「スバルが何について悩んでるのか分からないし、聞いたところで何が出来るかなんて分からないけど、だけどわたしはスバルの上司だから。 スバルのこの一年間は、わたしが面倒を見るって決めてるから。 もしもこのことでスバルが悩んでいて、一歩を踏み出せないでいるのなら、怖くて震えているのなら、あのときのように──助けてあげたい」
空港火災のときに見つけた一人の少女。 泣いて泣いて、どうにもできなくて、周りは炎に囲まれ、為すすべもなく泣いていた少女。
その少女が、時を経てまた自分の前に立っている。
どうしていいのか分からず、一歩を踏み出せないでいる。
自分に何かを伝えようとしている。
「スバルを助けたい」
毅然とした表情で、決意した表情で、なのははフェイトにそう伝えた。
フェイトはそれに笑顔で答える。 彼女もまた、この目の前にいる魔導師に救われたから。 体は成長し、心も成長こそすれど、高町なのはの本質は変わらない。 そんな彼女だからこそ、きっと空は高町なのはが好きなんだ。 フェイト・T・ハラオウンも高町なのはが好きだからよくわかる。
フェイトはなのはを抱きしめて、なのはの頭を撫でながら
「がんばろうね、なのは。 私も精一杯のアシストをするから」
「うん!」
ヴィータちゃんあたりには相談しとこうか、なんてなのはとフェイトで話が盛り上がり出した頃──
「重大発表ッ!!! どんどんぱふぱふーッ!!」
椅子が喋り出した。
あまりの大声に全員の手が止まり、椅子に視線を集める。
椅子は、こほんと咳払いをし
「明日、とろろ大会を開きます! 文句は言わせません! とろろ大会を開きたいんです!」
そう主張しだした。
『何言ってるんだコイツ……』
フェイト・なのは・リンディの三人は口こそしないものの、そう心の中で呟いた。 対して、ヴィヴィオはガーくんは大喜びだ。
「パパー! ととろってな〜に?」
「こう……山の神的存在で、なんかねこバスを愛車にしてるヴィヴィオと同じ5歳児の女の子のおっきなお友達で──」
いきなりの脱線事故だった。
「って、違う違う。 とろろな、ヴィヴィオ。 ととろは明日一緒にみような」
「お〜……、とろろ。 とろろおいしい?」
「とろろごはんはおいしいぞ〜。 明日はパパがカメラを回してあげるからな」
「わーい! ヴィヴィオおひめさま!」
「そうだ! お姫様だぞ!」
わ〜い! とガーくんの手を取りながらはしゃぐヴィヴィオ。 その様子に椅子は満足し、なのはとフェイトのほうに目を向けた。
「「……」」
「そんな眼差しで見つめられると、椅子はびくびくしちゃう!」
膝を揺らす椅子に、上にのっっかっているなのはは先ほどよりも強くひねる。 あくまでどく気はないらしい。
椅子の発言によって白けた目を向ける魔導師二人組。 そのうちの金髪魔導師が自分の頭をとんとんと一定のリズムで軽く叩きながら、
「大丈夫……?」
そう心配そうに聞いた。
「あれっ!? なんで頭の心配されてるの!?」
「いや、だってさ俊くん。 明日ビデオ回すんでしょ?」
「うん」
「何のために?」
「みんなの仲がいいところを撮るために」
「わたし素直な俊くんが大好き」
「みんなが白くてねばねばしたものを口に入れて満面の笑みを浮かべてる映像を見ながら、僕も白くてねばねばしたものを下の口から出そうかなと思いまして」
立ち上がり椅子ごと蹴り上げたなのはによって、椅子は椅子から転げ落ちた。
「変態! 変態! 変態!」
「もっとリズミカルに!」
「へ、へんた〜い? へ、へへへんたい?」
「ぶっ!」
「泣かせる! 絶対に泣かせてやるもん!」
涙目になったなのはが椅子の胸倉を掴もうとした瞬間、フェイトの制止の声が聞こえてきた。
勢いよく振り返るなのは。 諦めたような表情と呆れたような表情を、足して半分に割ったような表情で自分の携帯画面を見せる。 映し出されているのは受信画面、メールの差出人はヴィータ。
『明日の夕食はお前らの所でパーティーか。 昼は少し減らしておこうかな』
「まってヴィータちゃんっ!? これは罠だから! なんかうちのペットが発情期っぽいから!」
「おーいなのは。 いま10月なんだけど。 あ、でもなのはは年中発情して──」
「ふんがーっ!」
椅子に襲い掛かるなのは。 ぽかぽかと可愛らしく拳を叩きつける。
「いたっ!? 重い重い!? 魔力付加つける拳めっちゃ痛い!? ぽかぽかって擬音違う!?」
フェイトはそんな二人のやりとりにため息を吐きながらぞくぞくと来るメールの内容に頭を抱える。
「はぁ……これで最後か。 って、あれ? もう一人メールがきてる」
お母さん
私も仲間にいれてー(*´ω`*)
仲間外れはマジカルパンチだよ〜?ヾ(^▽^)ノ
絶句した表情で画面を5秒間見続け、ゆっくりと視線をリンディのほうに向けると
「……」(ちらっ、ちらっ わくわくっ うずうずっ
「…………」(ぽちぽち
お母さんへ
娘からのお願いです。 恥ずかしいのでやめてください
そう返信したフェイトはメール画面の削除ボタンをそっと押すのであった。