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43.キャッサリ〜ン!



 今日のバイトは依然にもお世話になった蕎麦庵である。 レジ打ちと給仕が俺の主な仕事となる。 蕎麦庵は日本出身の店長が一から本格的に作るだけあって味は抜群、のどごしも最高で、昼にもなると常連さんでいっぱいになる。

 蕎麦庵のいいところは、静かにゆったりとした気分でうまい蕎麦を食えるところにあると個人的には思っているし、光景としても概ねそんな感じの光景が広がっているのだが──今日ばかりは違っていた。 なぜなら──

「おそばもってきましたよー!」

「ほっほ、お嬢ちゃん。 ありがとうねぇ。 これはお礼だよ」

「やったぁー! みてみて、おにいさん! ヴィヴィオ、アメさんもらったよ!」

「よかったな〜ヴィヴィオ。 ほら、おばあちゃんとおじいちゃんにお礼言おうなー」

「うん! おばあちゃん、おじいちゃん、ありがとうございます!」

「ほっほっほ、ひょっとこくんにはもったいないほどできた娘さんだね」

「はは、母親が次元世界一最高だからだと思いますよ。 ささ、冷めないうちにどうぞ」

「そうだねぇ、それじゃおじいさん、いただくとしようかね」

「そうじゃなぁ」

 熱々の月見そばを二人で食べるのをみて、俺はもう一つの席に向かう。 ヴィヴィオはというと、そんなご老人二人の様子をずっとみていたら、小さい子用のお椀に蕎麦を移して頂いてちゃっかりご馳走になっている。

 う〜ん……これが男性なら殴るけど、ご老人の方だと完璧にお祖父ちゃんお婆ちゃん孫の図式が成り立っているので、微笑ましい光景にかわるな。 まぁ、お二人が迷惑でないのであればいいんだけど。 あーヴィヴィオは天使だな〜!

「ちょっと店員さん? わたしの山菜蕎麦がまだなんやけど」

「三歳でも食ってろ」

「いや、ヴィヴィオちゃんまでが限界やな」

 向かった先のテーブルでいい感じの作りの笑顔を浮かべている(俗にいう営業用笑顔)八神はやてが俺に向かってクレームをいれてくる。

「まあまあはやてちゃん。 お店も混んでますし、ゆっくり待ちましょうよ」

「それもそうやねー。 まぁ、わたしも食べてすぐ帰るわけじゃないし……店員さん、いつまでもまってあげるで!」

「…………いや、席が詰まるから食ったら早くでていけよ。 というか、なんでお前とシャマル先生が此処にいるわけ? 仕事は?」

「今日の朝終わらせてきた」

「サボリで有名なお前がっ!?」

 思わず驚く。 いや……だって……サボリで有名なお前が……ねぇ。

 八神はやてとシャマル先生。 いずれも俺の友人であり、なにかと俺のことを手伝ってくれる人達で、関係は良好(そう思いたい)。 たまにゲームのことやマンガのことで喧嘩することもあるけど、それ以外はいたって普通の交友関係である。 しかしながら、この二人、管理局のエリートだというのだから驚きである。

 二人だけじゃなく、幼馴染の高町なのはにフェイト・T・ハラオウンも同じエリートだというのだからもうなにがなんだが……。 もっと言えば、俺の知人の皆さん、管理局で働いている奴ら全員がエリートみたいなもんである。

 これがアニメの世界ならば、『この集団って勝ち組すぎるよな』とか言われるに違いない。 まあ、ぶっちゃけその通りだと思うんだけどね。 可愛くってエリートとか反則級だろ。 だが、俺だって無職のニートだ。 『だからなんだよ』そう突っこみが入ることくらいわかっている、わかっているが言わせてくれ。 語感的にはエリートもニートもそう変わらないので、俺も勝ち組ではないか?

 案外俺とこいつらがここまで関係を持っているのも当然かもしれない。 同族的な意味で。 本当は逆ベクトルなのだが。

 などと、長々とツラツラと怪電波を飛ばしたのはいいのだが──

「で、なんできたの?」

 こいつらの意図が全くわからない。 ので、何度目になるかわからない質問をするのだが、決まって答えは──

「ん〜? お昼食べに来ただけやよ〜」

 という解答である。

 まったく……なにを考えているんだか

 ふとおやっさんが俺を呼ぶ声が聞こえてくる。 どうやら注文の品ができたみたいだ。

「とりあえず、話はあとで聞かせてもらうからな」

 そうはやてに指さして、俺はピークを捌くのであった。 ちなみに天使はお戯れ中である。



           ☆



「で? なにしにきたわけ?」

 ピークも過ぎ、ようやくおやっさんから休憩の許可をもらえたのでその足ではやての正面に位置する席に座りながら話しかける。 ちなみに天使は奥の部屋でお昼寝中である。 もう好き放題のやりたい放題だ。 でもヴィヴィオだからそれでオッケー! だって可愛いもん!

「アンタがサボってないか見に来たんよ」

「あー、なるほどなー……」

 確かによくサボるもんな俺。

「でも、今回はサボるわけにもいかないからな〜。 これでも本気でやってるぜ?」

「まあ……それはさっきから見ててわかったけど。 そろそろなのはちゃんとフェイトちゃんを騙しながらバイト続けるのも難しくなってきたんとちゃう?」

「うっ……! それは……ちょっと思ってきた。 この頃、妙に二人の目も厳しいし……」

 なにも悪いことしていないのに罪悪感が発生するんだよな……。 恐るべし、二人のパワー!

 はやては、山菜蕎麦を食べながら、シャマル先生は天ぷら蕎麦を食べながら考える。

「もういっそのこと、お二人には話したらどうですか? そのほうがひょっとこさんも気楽にバイトをすることができそうですし──」

「シャマル、それは無理やで。 こいつの性格上、二人には秘密にしておいて、最後の最後でプレゼントを渡す──みたいなプランがでているはずや。 最後の最後で種明かしをするのが大好きな人種やもんな、自分」

「まあな。 最後の最後で『おいおい……うそだろ……』とか、『ふざけんなよ』みたいなとか結構好きだぜ。 だからはやてが言ったように、二人には秘密にしておいて最後の最後で種明かしみたいなのが好きなんだよね。 そうしたほうが、なんかいいような気がするし」

「う〜ん……そういうものなんですか?」

「そういうものなんですよ」

「でも、ひょっとこさんがいきなりプレゼントなんかくれたりしたら、まずは夢じゃないかと疑ったあと、どこから盗品してきたのか、又はどこから強奪してきたのか、そういったことを先に考えそうですね!」

『…………』

「えっ!? あれっ!? お二人ともどうしましたっ!?」

 シャマル先生の話でふと思った。 ……いや、シャマル先生が述べたことはあくまで一例ではあるんだが、必ずしもそうなるとは限らないんだが──そうなる確率が結構高い。 なんたって渡す相手があの二人であり、渡す奴が俺である。 ありえない話ではないどころか、十分にありえる話である。

「……どうしよう。 そこらへん全く考えていなかった……」

「う〜ん……確かにシャマルの言っていることはもっともやな」

 認めたくはないが……。

「ま、まあ……なんとかなるさ! うん、勢いでいけばなんとかなるよ!」

「な〜んか怪しいな〜。 ──でも、久しぶりやな。 アンタのこんなに頑張ってる姿をみるのわ」

 ふいにはやてが呆れた声から、優しい声色にかわった。 みると顔もほほ笑んでいて、一瞬だけ胸の鼓動が早くなったのを自分でも自覚した。

「今日な? 本当はアンタの頑張ってる姿を見に来たんよ。 無職でカスでゴミなアンタが頑張るところなんて滅多にみられないしな」

「喧嘩売ってるのか、それとも褒めてるのか、そうとう迷う言葉だな」

「大丈夫、バカにしてるから」

「表でろっ!」

 アヘらせてやる。

 でも、とはやては続ける。

「こうやって頑張ってるときのアンタ、やっぱりカッコイイで」

 そういって、笑ったはやての顔は、あまりにも普段のときとギャップがありすぎて、なんだか戸惑った後、俺はなんとも思わずネタに走ってしまった。

「バーカ。 俺が普段から頑張ったから、物語的にハーレムになってしまうじゃないか」

「ふ〜ん。 それじゃ、わたしも隣におるん?」

「…………まぁ、そこは考えておく」

 ついつい直視することができずに、頬を掻きながら視線をそらす。 いや、玄関の入口のほうに目を向ける。

 ──そこには携帯をこちらに向けながら、一心不乱に写メをとるスバルと嬢ちゃんがいた。

『──あ』

『やばいバレたよっ!? ティア逃げよう!』

「ちょっ!? お前らまてっ!」

 逃げる二人をなんとか捕まえて帰ってくる頃には、俺の休憩時間も終わっていた。

 ……飯、食いそびれたな



           ☆



「なるほどなるほど。 プレゼントですか、頑張りますねひょっとこさんも」

「まぁ、なのはちゃんとフェイトちゃんのためやしなー。 ところで、スバルとティアどうしておったん?」

「えっと、ティアとたまにはお昼外で食べようか、って話になりまして。 そしたらなのはさんとフェイトさんからおいしいお蕎麦屋さんを教えて頂いたので、寄ってみたところ……はやてさんとひょっとこさんがいい雰囲気でしたので……つい写メを」

「ついで写メをとってらいかんでー」

「いたいいたいいたいっ!? ごめんなさい、はやてさんっ! 写メは消しますからっ!?」

「私たちは管理局員やでー?」

「でもはやてさんだって十分局員にあるまじき行為を平然とやってる気がいたいですっ!? もういいませんからヘッドロックは勘弁してくださいっ!?」

 メキメキと音をたてていたスバルを離すはやて。 隣のティアはその光景をみながら、冷や汗をかいた。

「(流石はやてさん……。 あのひょっとこさんをフルボッコにするだけの力はある……)」

 そう思いつつ、後ろに隠れるスバルの相手をすることに。

「まぁいまのはアンタが悪いわね」

「いやいやいやっ!? 写メ撮ったのティアじゃんっ!? なにすまし顔で自分は関係ないですアピールしてるのっ!? ティアばりばり関係者だからねっ!?」

 なんのことだかサッパリわからない。 ついに友人は頭までアレになってしまったのか……。

「おーい、注文とりにきたぞー。 なにがいい? あ、そういえばはやて。 シャマル先生はどこいった?」

「シャマルならヴィヴィオちゃんのとこ行ったで」

「あーなるほどな。 まぁ、もうすぐしたらお昼寝中のヴィヴィオ起きだすから、それまではすることないと思うけど。 シャマル先生には感謝し尽したりないな」

「わたしにはないの?」

「勿論あるぜ? 聖王教会紹介してくれたしさ。 まぁ……お前とカリムさんには悪いことしちゃったけど」

「それはべつにええよ。 私も聖王教会側も気にしてないし。 それより、聖王教会側がまたバイトにきてくれだってさ。 今度は日給で」

「まじで? それならヴィヴィオ預けて行くのもアリだな。 あー、でもメンドイことになりそうだしな〜。 考えておくよ」

 注文をとりにきたひょっとこさんは、そのままはやてさんと話し込む。 あの……私たちの注文は?

「え〜っと、すいません。 注文いいですか?」

「あっ! わるいわるい、ささっ注文どうぞ」

 手を軽くあげて、挙手の形で質問してみるとひょっとこさんは、いま気付いた様子で困った顔をしながら注文を促しくる。 この人、完全に忘れてたな……。 もしかしてひょっとこさんは、飲食店のバイトだと話し込んじゃうタイプなのかも。

「え〜っと、私はざるそばをお願いします。 スバルは注文決まった?」

「え〜っと、ここからここまで全部」

 そういって端から端まで指さすスバル。

 これには注文をとるひょっとこさんの手も止まる。

「え〜っとさ、スバル。 金はある?」

「あ、はい! ほら、このとおり!」

「うーん……これじゃ三つまでしか頼めないぞ?」

 スバルのサイフを覗き込んだひょっとこさんは金額を確かめると、諦めろといわんばかりに言った。 ちなみにスバルのナイフの名刺入れにはなのはさんが笑顔で写っている写真がはいっている。 もっと言うのであれば、私のサイフにはその写真は入っているし、合同部屋にはなのはさんのプロマイドやポスターも張ってある(全て自作)。

「まあ、その中で好きなものを三つ注文してくれ」

「うーーー……」

 泣く泣く三つ注文するスバル。 しかしながらこればっかりはしょうがない。

『おやっさーん! あれ? おやっさーん? クソッパゲー!』

『死にてえのか、お前』

『うおぁっ!? いるなら返事しろよ!? いきなり文化包丁で刺すことないだろ!?』

『お前をみるとついな……』

 ……あの人もあの人で色々とすごいなぁ〜。



           ☆



「おにいーさん……だっこー」

「はいはい」

 お昼寝から目覚めたヴィヴィオが両手を上げながら、俺に抱っこをせがんでくる。 なんとも可愛らしいかぎりである。 もちろん俺は断ることなく、その小さな体躯を抱き上げ背中をトントンと軽く叩いていく。

 そしてそうしながら、付き添ってくれたシャマル先生にお礼をいうことに。

「すいません、シャマル先生。 ヴィヴィオのおもりもさせてしまって……本当なら俺がこんな状態ですから、スカさんかなのは達に預けるべきなんですが……。 スカさんのほうはこのところ発明に忙しいらしく、頼りになるウーノさんもそれに付き添う形で。 なのはたちのほうは、まぁ……俺のことがありまして。 はぁ……ヴィヴィオにも迷惑かけるな、ごめんなーヴィヴィオ」

「うー……トンボさんだよぉー……」

 ヴィヴィオは二度目の眠りの旅にいったみたいだ。

 シャマル先生はクスクスと笑う。

「いいんじゃないですか? 六課で預かるよりも、此処の方たちのほうが色々と個性があってヴィヴィオちゃんも面白いでしょうし。 この年ではなかなかお蕎麦屋さんの給仕なんてできませんよ?」

「……言われてみれば、そんな気がしますね。 う〜ん、ヴィヴィオが楽しんでくれるのならそれでいいか」

 うん、それでいいや。

『ひょっとこさーん! 注文追加お願いしまーす!』

「あ? あいつ金ないのに、なにしてんだ? すいません、シャマル先生。 少しの間だけヴィヴィオをみていてもらえませんか?」

「ええいいですよ。 いってらっしゃい、ひょっとこさん」

 手を振るシャマル先生にこちらも振り返しながら、俺を呼ぶスバルの元へ。

「注文ってお前……金は?」

「はやてさんが一食だけおごってくれるみたいです!」

「口止め料や。 いっとくけど借しやでこれわ。 いつか返してもらうから」

「はいはい。 それで注文は?」

 スバルの注文を紙にボールペンを走らせおやっさんのところにもっていく。

 昼のピークを過ぎると、客もほとんどいなくなりこちらとしても仕事をしなくて済む……なーんてことにはならないのだが、それでも、少しばかりの時間はとれるようになるのでこちらとしてもありがたい。

 なんてことを思いながら、注文の品の出来上がりをまっていると此処で見かけるには珍しい人物が暖簾をくぐりながら姿を現した。

 その人物は誰かを探すそぶりをみせながらキョロキョロとしたあと、俺の姿を確認して真っ先にこちらに向かってきた。

「よお、おっさん。 遅い昼飯でも食いにきたのか?」

「いや、ある人からお前を呼ばれてな。 ほれ、携帯」

 そういって自分の携帯を投げ渡すおっさん。 今日のバイト先、蕎麦庵では携帯をポケットにいれたままバイトなんてしてたらおやっさんに殺されるので、携帯は家に置いてきたのだ。 万が一バイブ音が鳴ろうものなら俺の命もそこで尽きてしまう。

 携帯を耳に押し当てながら、俺に用があるやつなんて誰かいるかな? そう自問自答して返事する。

「はい? お電話代わりました。 どなたですか?」

『あっら〜ん! その声はダーリンね〜!♪』

 ピッ

「おっさん……いまの声って……」

「その……すまん……。 一応、先輩にあたる人だしな。 あの人も昔はすごかったんだぞ」

 自然に声のトーンが下がる。 おっさんも俺の声のトーンに気付いたのか、気まずそうに、バツが悪そうに、珍しく言い訳じみたセリフを吐く。

「それは過去の栄光だろッ! いいんだよ、過去の栄光なんてさっ! 大事なのは現在なんだよっ!」

「いや……でも……お前のことを心配してるみたいだしさ……」

「知らねえよっ!? 俺はこいつに喰われかけたんだぞっ!?」

 おっさんに詰め寄ったところで、手のひらに振動音の感触が。

 放置したいけども、それをすると後が怖いのでしぶしぶながら電話にでることに。

「……はい。 なに?」

『もう! 電話切るときは一言いわないとダメなのよっ! ダーリンってばそういうところはまだまだお子様ね!』

「アンタにダーリンと呼ばれる筋合いも言われる筋合いもねえよっ! というか何しに掛けてきたっ! しょーもないことなら電話切るぞ!」

『あら、そんなこといっていいのかしら? ダーリンっていまお金に困ってるんじゃないのかしら?』

「…………誰に聞いた?」

『その携帯の持ち主さん』

 おっさんを睨む俺。 睨まれたおっさんは何故か注文の品を運んでいた。 いや、まじでなにしてんだよ……

 近くにあった椅子に座りながら足を組む。

「それで? 確かに俺は金が要り様だけど、アテはしっかりと確保してますので」

『ふ〜ん……。 ところで、現在何万貯まったのかしら?』

「……3万くらい」

『なかなか厳しいわね〜』

「まあ、残り7万だからな。 なんとかしてみせるよ」

 俺は早々と早急にいち早く誰よりも早く風よりも光よりも早くこの電話を切りたかった。

 なぜならば、キャサリンがこの後言うであろうセリフがなんとなくわかっていたから。

 確信のない確信。 しかしながら、俺のこの予感は──

『それじゃ、ウチのお店で働こうか』

「お断りします」

 あっさりと当たるのであった。 勿論、このキャサリンの提案だけはなんとしてでも却下しておきたい。 これだけは却下しなければ、俺の穴が大変なことになるからだ。

『あら、どうして? ダーリンはお金が必要なんでしょ?』

「必要だけど、かなり必要だけど、アンタの店でだけは働きたくないんだよ!」

『5万』

「ぐっ──!?」

『ダーリンの働きしだいでは、もっと増えるからしれないわよ〜。 夜の10:00から深夜00:00まで働くだけで5万。 ダーリンとしても咽から手がでるほどいい仕事だけ思うんだけど☆』

「た、確かにいい仕事だけどな……」

『それに今回は、ダーリンを襲わないって約束するから。 ね?』

「本当だろうな?」

『もちろんよ♪』

「……護衛を一人、つけさせてもらう」

『もう! 私達のこと信用してないのねっ! もう怒っちゃうわ! ぷんぷん!』

 だれがお前みたいな変態野郎を信じるか。 それにぷんぷんなんてぶりっ子アイドルみたいなことやめろ。 アンタはどう考えてもぷんぷんよりぶりょぶりょのほうが似合ってるから。

「はぁー……。 まあ、これも金のためだ。 いくよ、バイト。 いかないと、ヤンデレよろしくアンタの裸付きメールを延々と送られそうだし」

『心配しないでダーリン! バイトにきても裸メールは送ってあげるから!』

「いるかボケ!」

 キャサリンと軽く仕事の内容を聞いたあとに、携帯を閉じておっさんに返す──途中でおっさんに依頼することに。

「おっさん、明日のバイトはお前もこい。 道連れだ」

「うえっ!? なんで俺までっ!?」

「俺が喰われるかもしれないだろっ!? 相手はキャサリンだぞ!? いまは引退したけど、現役時代は魔力量Eでありながら魔導師ランクAAAの『砕き鉄塊の拳(トロールハンマー)』と呼ばれたキャサリンだぞ!? 俺には荷が重すぎる!」

「……まぁ、確かに俺にも責任はあるしな……。 しょうがない、逝ってやるよ」

 おっさんは何か諦めの境地に達しながらも頑なに頷いた。 表情は死地に赴く戦士である。

 そんなとき、嬢ちゃんが俺の袖を引っ張りながら質問してきた。

「あのーひょっとこさん。 その……キャサリンって誰ですか?」

 まぁ、その困惑した顔と恐怖している表情は至極真っ当な反応といえよう。 しかしながら、俺自身もそこまでキャサリンのことを知っているわけではない。 知っていることとすれば、魔力量はEでありながら、魔導師ランクはAAAという、時空管理局でも異彩を放ち異才を用いていた男である。

「なんというか……お前らの大先輩だよ。 下手したらカリスマという点では、はやてやなのはやフェイト以上の力をもつ人かもな」

 まぁ、その人は現在、ゲイバーというかオカマバーを開いているわけだけど。




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